前後の組み合わせの大切さ

「あ、リブレさんの背中も流しましょうか?」

「……怒られたりしないか?」

「自分から提案しておいて怒るとか理不尽な事しませんよ」


それもそうか。

ちょっと後ろを見た過ぎたことで心が荒んでるかもしれない。


「あ、じゃあ、お願いしようかな」

「はい、じゃあこっちに来てください」


促されるままレインの前のイスに座る。


「ってなんでこっち向いてるんですか!?」

「いやー、水着姿のレインに背を向けるのもどうかなって思って」

「そういうのダメだって言ったじゃないですか!」

「だってさぁー……」


自分の彼女の水着姿だぞ?

見たくないってやつの方がおかしいだろ!

見たくないってやつは男やめてるわ!


「わかりましたから! その気持ちは十分! もうちゃんと前向いてくださいよ!」

「いーや! わかってないね! 法律的にも世間的にも状況的にもダメだから我慢してるけど! こちとら彼女いない歴16年からいきなり美少女の彼女が出来た身だぞ、おい!」

「そんなこと言うなら僕だってですね! ずっと信用できる人がいなかった状態から! やっとリブレさんに会えたんですよ!」


衝撃の逆ギレ。


「そりゃ僕だって! リブレさんとデートくらいしたいですよ!」

「お、おぅ」

「我慢してるんですから! リブレさんもちゃんと前を向いてください!」

「了解しました」


なんか説得されてちゃんと前を向く。

不思議と悪い気はしないが。


「……わたしもあらう」


なんと振り向いた先にはプリンセがいた。

前門の虎、後門のエルフ。


レインは俺の頭を洗うのに、俺が座っているので膝立ちくらいがちょうどいいのだが、プリンセはさらに小さいので頑張って背伸びして洗ってくれている。

しかも俺の前側からなので俺の足があり、届くのがギリギリなのだ。


なにが言いたいかというと、プリンセのミニマムボディが目の前にあるということだ。

白いスク水に包まれた子供特有のみずみずしい体。

なにがとは言わないが色々ときつい。


「……んー!」


頑張ってくれているので俺としてもやめてとは言いづらい。

というか絶対に言えない。

良心が許さない。

しかし、なんというか、そう。

おさまりが悪いのも事実。

どうしようこれ。


「プリンセちゃん、そっちきつくないですか?」

「……だいじょうぶ」

「代わりましょうか?」

「……むー」

「結局洗うことには違いないですから」

「……むー……」


渋々代わる2人。

結局レインが俺の前にくる。


「これは怒られないのか」

「仕方のない措置です」


レインがむくれ顔で言う。

具体的には頬をぷくっと膨らませる。

かわいい。


「僕以外の女の人を見られるくらいなら僕が見られた方がいいです」

「……」


どうしよう。

俺の彼女可愛すぎて困る。

この嫉妬してくれてる感じがたまんないな。


レインの陶磁器のように透き通った肌。

黄金比の手足。

あどけない小さな顔。

完璧だ。


「次にあんな感じでプリンセちゃん見たら許しませんよ」

「はい」


すみませんでした。

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