飲酒後の記憶の有無は人によってまちまちです

「いや、まぁ大暴れしたとかじゃないから良かったけどさ」


「酔って二つ名ダブル持ちが大暴れ! 多数の人的被害!」みたいな見出しで1面を飾るぞ。

この世界で新聞みたいなの見たことないけど。

そういえば見てないな。

そういう職業したら儲かりそうだ。


一段落したらやってみたい候補に入れておこう。

戦闘しなくて済む職業がいいな。

ってかむしろ働きたくない。

今回ので報奨金とか出ないかな。

まぁ、生きて帰れたらにはなるけど。


「いや、そっちではなくて……。皆様の前で恥ずかしいことを言わせてしまって……」

「そっちの記憶もあるかー!」

「僕もなんかけっこうなこと言ってた気がしますし……」

「それもそうだな」


ニヘラニヘラしてたから。


「でも、可愛かったぞ」

「それはもういいですよ!」


何回言っても真っ赤になる。

かわいい。



「いえ、僕としては嬉しかったんですよ? というか、今まで抑えていた分が爆発したといいますか……。抑えられなくなりまして……」

「けっこう隠してたからか?」

「いえ、あの、こういうのもなんですけど。好きになっちゃた時から隠そうとしてたので……」


どんどん声がか細くなる。

心なしか体も縮こまっている。

なるほど。


「まぁ、いいよ。本当のことしか言ってないから追求されて痛いところはないしな」


いや、あれをいじられたら痛いは痛いんだけども。


「とりあえず、レインにはお酒を飲ませちゃいけないってことはわかった」


2人でいるときとかだったらまぁいいかもしれないが、他の人いたらやばいかも。


「まぁ、いいだろ。公に出来てた方がこっちもなんの遠慮もしなくていいしな」


隠し事ってのはあるだけで神経すり減らすもんだからな。



「……ご飯出来たよー」


話が一段落したところでプリンセがお玉を持って現れる。


「あぁ、ありがとう」


なんと偉い子だろうか。


「おい、起きろ」


大の字で寝ているオーシリアをペしぺし叩いて起こす。


「むー……、あと5分……」

「睡眠を必要としない奴が何言ってやがる」


ぺしぺしの速度を上げる。

ぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺしぺし。


「わ、わかったのじゃ! 起きるから! 起きるからそれをやめるのじゃ!」

「最初からそうしろよ」



「邪魔するよ!」


バァン!


食事中に扉を開け放って家に入ってきたのはハンネ。

あれ?


「家の鍵は?」

「閉めていたはずですけど……」


よく見れば閂型の鍵がひしゃげて使い物にならなくなっている。

そういう入り方をされないためのものなのに……。

鍵も改良が必要だな。


「これを見て欲しいんだよ!」

「銃だな」


ハンネが袋から取り出したのは俺が適当に作った銃だった。

しかし、ちょっと形が違うな。


「あたしもずっと複製作業は嫌だったもんでこれをいじくってたんだよ。すると、なんかよくわからないことになって!」


ほう。


「なら撃ってみるほうが早いか」

「ぜひそうしてくれ!」


テンション高。


外に出て前回と同じ位置から同じ木を狙う。


ドォン!


銃身が爆発こそしないが、曲がって2発目は望むべくもなくなる。

しかし、木には銃痕が複数?


散弾銃ショットガンか……?」

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