文明の進化は突然に

「ショットガンって言うのかい?」

「あぁ、まぁ、たぶん」


確か、柔らかめの弾を使ってて、撃ったら分かれることによって弾がいっぱいになるんだっけか。


「銃自体はもうあれでいいかなと思ったから弾の方をいじくってたらこうなっちゃったんだよね」

「こうなっちゃったんだ……」


適当だったのかよ……。

本気でこいつが野放しにされてるのが不安になってきた。

適当に核爆弾とか作っちまうんじゃなかろうか。


「近距離ならこっちの方が強いんだよ」

「あ、やっぱりかい?」


銃弾が点じゃなくて面で出るからな。

相手に当たりやすいし、必然的に急所にも当たりやすい。

近づいて撃つには最適の銃ではないだろうか。



「こっちも量産してもらうべきだな」

「あ、そっか! そういうことになるのか!」


気付いてなかったのか。

自分の負担が増すことに気づいたハンネは自分がぶっ壊して開けたドアへと逃げる。

この前もこんな光景見たぞ。


「逃がさないよ?」


そう、この前もキラが現れたんだった。


「げぇっ!?」

「また見張りに劇薬を嗅がせて逃げたらしいね。ダメだってあれほど言ったのに」

「研究室から一歩も出してくれないからだよ!」

「それはひどい」


ブラックだ。

あれだけこき使った俺が言えることでもないけど。


「不眠不休か?」

「いや、寝させてはもらっているけどさ。それさえ研究室のなかだよ? 城に自室があるにも関わらずさ!」

「家に帰れないのはきついよな」


子供の頃に覚えがある。

理由は全く違うけど。

親に入れてもらえなかっただけだ。


「というわけで、寝る時くらい部屋に帰させてやれよ」

「うーん、でも逃げられるかなって」

「閉じ込めてて逃げられてるんだから緩めてやれよ。しっかり寝させた方が仕事の効率も上がるんだぞ」

「まぁ、試してみるとするよ。それはそれとして帰るよ」

「うっ……!」


首根っこを掴まれたハンネが連れ去られていく。


「あ、暇だったらこっちの訓練にも顔を出してよ。強い人とやった方が練度も高くなるだろうしね。レイン君とプリンセ君も大歓迎だよ」

「戦わせるとかは無しの方向で」


消耗するだけだから。


「わかってるって。それじゃ、待ってるよ」


そう言って姿を消した。

ハンネは首の後ろを掴まれたままだったがあの状態であのスピードで動いて大丈夫なのだろうか。

意識どころか命が消えるまであると思うんだが。


しかし、待ってるとか言われてもな。

行ったら面倒ごとにしかならないし。

行く気はさらさらない。

どうせこの後に一大決戦あるんだ!

やってられるか!


「絶対行かないって顔してますね」

「行きたいか?」

「いえ、全く」

「……わたしは行ってもいいかな……」


種族による思考回路の違いが出てる。


「多数決によりプリンセは却下だ」

「……むーっ……」


不満げな顔をするプリンセ。


「さ、ご飯食べようぜ」


ハンネが来たから途中になってるからな。


「……冷めてる」

「冷たくても上手いって。さ、食べよう」


作ってくれたプリンセはちょっと悲しそうだ。

ハンネ許さん。



俺たちが食べなおそうとして席に着いた瞬間だった。


「たのもー!」


バァン!


鍵が壊れたドアを開け放って入ってきたのはエルフの少年だった。


「リブレさん! 僕と決闘してください!」


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