工作は一筋縄ではいけない

「これなんだけど」

「よしきた」


少しだけ銃を見ると、手のひらを開ける。

次の瞬間にはそこに銃が握られていた。

あ、そんなにあっさりなんだね。


とりあえず撃ってみないことにはなんにもわからないか。

よーし、ここの木かな。


ドォン!


撃てた。

っていうか爆発した。

銃身バレルごと。

俺の顔の真横を吹っ飛んだ金属部分が過ぎていった。

あまりのことに反応も出来なかったが、俺は頬を火傷した。

めっちゃひりひりする。


一応弾は前に飛んだが、狙ってた木から4メートル程右にずれた。

まぁ、銃身吹っ飛んだのにまだ前に飛んでるからな。

よしとしよう。


「……すごいね!……木に穴が出来たよ!」

「な、なにがあったのじゃ? わしには見えんかったぞ?」


プリンセには見えていたらしいが、オーシリアは今後の防御が不安になるようなこと言ってる。

いや、銃弾を眼で追えるプリンセがおかしいのか。


「今狙ってたところと違う場所にいきませんでした?」

「鋭い!」


そうなんだよな。

これじゃちょっと使えないかもな。

味方の大量殺人になっちまう。


「あー、なるほど。そういうやつか」


そう言うとハンネはいつの間にかもう1つ複製していたやつをいじり始める。


「要は、まっすぐに飛んでくれればいいんだろ?」

「できるのか?」

「ここまで骨格が出来てればね。あたしのやることは少ないから。できると思うよ」


おぉ。

集中モードに入った。

もう会話が成り立たない。



「なぁ、主。なにがあったのじゃ?」


あ、そうか。

オーシリアはまだ見てなかったか。


「じゃあ、見に行くか。気になることもあるし」


オーシリアを伴って弾が当たったと思われる木の方へ向かう。


「……えいっ」


2歩目でオーシリアが背中に飛び乗ってきてこけかける。

あぶなっ。


「……」


レインは無言で手を繋いでくるし。

左手が捕まった。

悪い気はしないけど。

というかいい気しかしないけど。



「これだな」


木についた弾痕を見つける。


「おぉ。あれから出たやつがここに埋まっているやつかの?」

「そうだな」


一応、その方が安定すると思って弾頭がとがったやつをいれてたからな。

木の中に埋まってしまっている。

この木には大変申し訳ない。



「……で、プリンセ」

「……ん、そっち」


プリンセが指差したほうの茂みの奥には腰を抜かして座り込んでるエルフの少年(?)がいた。

レインのこともあるからな。

性別は男だと思うが、美麗すぎてわからん。


「あ……あ……」


声変わりもしてないっぽいし。


「こ、殺さないでください……」


……。


「リブレさん、その目つきやめたほうがいいですよ」

「だから! 目つきは! 生まれつき!」


生まれなおさなきゃだからそれ!


「まぁ、僕は好きですけど」

「おぅ……、ありがとう」


このフォローめっちゃ嬉しいな。

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