75日はかなり長い
「なんでお前が仕切ってんだよ」
「あ痛っ! なにするのじゃ! わしは一応
「なるほど、それは済まなかった」
確かに経験談というのは大切だ。
面と向き合った者(物)にしかわからないこともある。
「まぁ、わしは今回のやつは知らんのじゃがの」
「やっぱ役立たずじゃないかよ!?」
俺の謝意を返せ!
「リブレさん、オーシリアさん、もうご飯出来ましたよ? 早く降りてきてください」
レインが呼びに来た。
「おぉ、レインとやら。主をよろしく頼むぞ」
「は、はい!?」
おい、真っ赤になるなって。
別に何がとも言われてないだろ。
「こいつはなんか聞いてたらしい。そこはしょうがないとして諦めるしかないな」
「うぅー……、もうちょっと秘密が良かったです……」
「こいつは杖だから。ノーカンだろ」
レインの頭を撫でながら慰める。
「それでいいとしましょう!」
急に元気になったレインは先に階段を降りていく。
「早くしてくださいねー!}
なんか感情の機微がわかりやすくなってるな?
大丈夫か?
朝食を終えた俺たちは改めて幻想級と戦う意思を伝えるために王城へと向かう。
こそこそと。
未だに俺は勝手に出ていったやつだからな。
毎回逃げてるっていうのもあって、あることないこと噂になってるらしい。
人の噂も七十五日という先人の教訓に倣って我慢したいところだが、365日のうち75日って20%くらいはあるからな。
1年の5分の1も噂され続けるって中々の苦行だと思うぞ。
「こんちわー」
「おぉ、よく来たの」
今回は謁見の間に誰かお客さんがいることもなく、普通に王様と
「キラから仔細は聞いておるぞ。ご苦労じゃった。レイン殿も無事でなによりじゃ」
「ご心配をおかけしました」
レインが深々とお辞儀をする。
「まどろっこしいのはいいだろ。マレイユさん、俺たちは幻想級迎撃に加わるぞ」
「それはこちらとしても願ったり叶ったりです。
「決まりだな」
とりあえずは許可も取れたし、万々歳かな。
大体上手くいってる。
「リブレさんには前回同様参謀を任せるということでよろしいのですか?」
「その認識でいいと思うけど、今回は真っ当な戦いにはならないと思うから、俺に参謀は向かないと思う。ご意見番くらいにしておいてくれ」
「と言われましても参謀にふさわしい人物となると他に誰がいるでしょう……?」
「空きじゃダメなのか」
「体裁的にもそこは埋めておきたいですね」
この状況で体裁なんて気にするのか。
しかし、特に不要とも言い難いか。
指揮系統がしっかりしているに越したことはないからな。
「じゃあ、レインでいいんじゃね?」
「え!?」
隣でレインがちっさくジャンプする。
なにそれかわいい。
「そうですね。レインちゃんならリブレさんとも連携がとりやすいですし、適任でしょう。よろしいですね?」
「え!? はい……」
マレイユさんの眼光の前には誰も逆らえはしない……。
実際には俺が指示を出すことも多くなるだろうし、レインが適任だろう。
レインが恨みがましい目でこちらを見ているのは置いておくとして。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます