点数査定は厳しめに

キラが出張ってからは、まぁ、言わなくてもわかってもらえるかと思う。

敢えて言葉にするとすれば、やる気のあったエルフさんたちはひどい目にあい、挑まなかったエルフさんたちは命拾いをしたってとこだな。

マレイユさんの指示はレインを助け出すまでの指示だったため、レインを助け出した今はその指示の効力はない。

つまり、「丁寧に相手しろ」というのにキラが縛られていない。

うん、悲惨だ。


「で、レイン? 俺の働きはどうだった?」

「そうですね……。長の息子あいつを投げたのはすっきりしたので評価します。プラス100点ってとこですかね。あと分断するっていうのも流石です。家を守ってくれたのと合わせてプラス300点差し上げます」

「おぉ……」


点数制だったのか。

合計でプラス400点。


「で、累計は?」

「マイナス99600点ですね」

「元々マイナス100000点だったの!?」


えらいこっちゃ。


「ちなみに俺がいなくなる前は?」

「マイナス40000点ですね」

「その時点で!?」


いや、でも待てよ?

デフォルトでマイナスなら元に戻すのもかなり楽なんじゃないか?

よほどのことじゃないとマイナス査定にはならないだろうし。


「あ、リブレさんの実力は承知してますから、採点が甘くなるようなことはありませんよ?」

「封じられた!」


流石の先読み。



「そういえばなんだが、レインは多少催眠に抵抗できてただろ? なのになんで俺を全力で攻撃してたんだ? いや、怒ってたってのはわかってるけど」


それにしても限度があるよな?


「ああでもしないとすぐに僕が負けちゃうじゃないですか。そもそもリブレさんの方が格上なんですから」

「いやいや、レインももう二つ名ダブル持ちだろ? しかも上位二つ名ハイ・ダブル。あ、ちなみに序列持ってる?」

「52位でしたかね?」

「おもっきし格上じゃん」


俺は不本意にも76位だからな。

あ、不本意ってのは高すぎって意味で。


「リブレさんがいない間に上がってますからね。どこで何してたかは知りませんけど!」

「それなんだが、実は魔界に行っててな……」

「なんですかその言い訳。点数引きますよ?」

「ごめんなさい」


ほんとなんだけどなぁ……。

点数がレインの裁量次第っていうのが辛いとこだな。


「まぁ、マイナスの6桁は脱しましたからね。とりあえずは今まで通りでいいですよ。助けてもらったのは事実ですし」

「そこを評価してもうちょっと点数が好転したりは……?」

「評価したうえでの点数なんですけど。下方修正します?」

「すみませんでした」


鬼畜……。



「終わったよ、2人とも」

「あ、お疲れ」


ちょうどキラも終わったみたいだ。

倒れているエルフの方を見ると、死屍累々というより、静かに寝かせられてるみたいだ。

むしろ怖い。

女性の方はむしろ本望みたいな顔してるのがおかしいだろ。

キラの魅力イケメンはエルフにも共通するのか!


俺がそんなことを考えてるとは露知らず、キラは事務処理を進めていく。


「見ての通り、ここを襲うのはこれっきりにして頂きたい。もちろんそちらにも命令というものがあるでしょうから、今回のことは大きな騒ぎには致しません。しかし、再度来られるようであれば、これ以上に苛烈な対応をせざるを得ません」


苛烈って……。

しかし、この言葉の威力は絶大だったらしく、残っているエルフ達はコクコクと頷くばかり。

そりゃキラによる蹂躙あんなの見せられたらなぁ……。

トラウマにもなるってもんだ。

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