催眠術ってほんとにあるのかな
「ここからはわたくしの印象になってしまうのですが」
マレイユさんが話を続ける。
「レインちゃんは年に似合わず理性的で、自身のリスク判断には長けていると思うのですが、どうでしょう?」
そう言って付き合いの長い俺と一緒に旅したことのあるエルメに話を振る。
「そうだな。基本逃げられるかを前提として動いてる」
「リスクはできるだけとらないようにしてるわね」
「そこで、です。いくらレインちゃんが強くなったと言っても、キラとリブレさんに戦闘を挑むのはそのイメージと合致しないのではないですか?」
「……確かにな」
レインは俺を作戦立案とかにおいてかなり過大評価している面があった。
俺が思い付きでやってみたやつが運良く成功していたからだろう。
キラに至ってはその戦闘能力を疑ったことすらなかった。
そのレインが俺とキラを相手取ろうと思うか?
「つまり、マレイユさんは、レインが操られている、もしくは渋々従っているというのを懸念しているわけか」
「そういうことになります」
「仮にそうだと仮定すると、あまり強度の強いものではないな。あのレインは自分の意思で戦ってはいた。それは感情を見ればわかる。だが、同時にエルフの長に俺たちを知らないと嘘をついていた」
多少誓約はあるものの、レインは抵抗していると見るのが筋だ。
「となると、ますます余裕がなくなるな?」
「あの、私まだわかってませんわ?」
ルーリアは話についていけてないようだ。
やっぱりこいつはもっと裏をかく思考をした方がいいと思うな。
力があるから正面からしか考えない癖がついてる。
それで大抵なんとかなるからな。
「要するに、レインが何らかの形で操られているのなら、エルフはいつでも生け贄としてレインを送り出せるってことだ。町の近くまで来てからやる理由がないからな。出来るだけ早くしたいだろ?」
「そういうことですわね……」
「ちなみにだが、催眠術って言葉を聞いたことはあるか?」
「いや、ないと思うよ? 術と言うからには何かの魔法かな?」
「いや、知らないならいい」
もちろん俺が言っているのは魔法でもなんでもない催眠術の方だ。
俺は別に催眠術を信じているわけではないが、魔法があるこの世界だ。
そんなもんがあったときには更に話がややこしくなってしまう。
キラがないと言うならないんだろう。
つまり、レインは何か魔法的な干渉を受けている。
それは
しかし、全く抵抗の出来ないものではない、か。
レインを陥れることの出来るやつなんているのかな。
「話を戻しますよ。つまり、レインちゃんを救うためには一刻の猶予もないのです。我々には彼らの予定を知る術などないのですから」
「これはこの国の王家の威信がかかった問題です。誰かの犠牲の上で成り立つ国家など滅べばいいのです。国家は常に、全てを救う選択を模索すべきです。わたくしたちには、
マレイユさんは
「できますよね?」
「「おぉ!!」」
なんという求心力。
カリスマが凄い!
「わしの立場は……?」
王様ドンマイ。
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