作戦立案

「リブレよ、誰が欲しい?」


やっと本格的に円卓が機能する。


「それは、エルフのとこに潜入するにあたって、ってことだよな?」

「無論じゃ。まさか1人で行かせるわけにもいくまいよ」


うーん。


「……まず、俺とオーシリアは当然として」

「当然じゃな! わしと主は一心同体じゃ!」


なら主の言葉を途中で遮るなよ……。



「で、戦力としてキラは欲しい」

「ケインやエルメでもその役目は果たせると思うが?」


まぁ、そうだろうな。


「でも、ケインを今回の潜入みたいな繊細なことに連れていけるわけがないだろ? それとも、王様はケインをこういう場合に起用するのか?」

「確かに、しないのう」


だろ?


「で、その点についてエルメさんは俺がよく知らないからわからないが、少なくとも俺がエルメさんの戦い方を知らないからな。避けるべきだと思う」


潜入のような動きを複数人でするときに、お互いに出来ることを把握しているのは必要不可欠だといえる。

たぶん、そのあたりの連携が難しいから忍者とかは単身で敵陣にのりこんだりすることが多かったんじゃないかなと思う。



「そうね、私も妥当だと思うわ。そもそも私の戦い方って潜入むきじゃないし、ケインこのバカが静かにしていられるはずがないしね」

「うむ、少し引っかかるが、まぁそうだろうな」


エルメとケインの同意も貰えたところでキラを見る。


「もちろん、僕は構わないよ。役に立てるとは思うし、いざとなればリブレ君を抱えて逃げることもできるだろうしね」

「そうならないことを祈るけどな」


キラの同意も得られた。


「で、王様としてはキラに抜けられたら困るか?」

「何を言う。1人抜けただけでどうにかなってしまうような国など、国家として成立しておらぬわ。しかし、2人だけでよいのか?」

「そうだな、これ以上増やしてもあんまり意味ないだろうし……」

「私も連れて行ってくれ!」


ここで声をあげたのはなんとエイグだった。



マル・エイグ。幼少期から二つ名ダブルを得る可能性のある天才として二つ名兵団ダブル・コープスの1期生となる。

しかし、候補生自体に成功例が未だなく、存在が疑問視されている。

こんなところだったかな? まぁそれでも一般の兵よりは強いらしいから存在意義はあると思うけどな。


「決して邪魔にはならない! いざとなったら置いて行ってもらっても構わない! 私もきっかけが欲しいんだ!」


将来国の柱となることを期待されたものとして、目に見える結果が出ていないのが不安なのだろう。


だが、今回の潜入はそんな発展途上のやつを連れて行って余裕があるようなものではない。


「エイグ、悪いんだが……」

「お前には言っていない! 陛下、キラ様! どうか私も連れて行ってください! 必ずお役に立ってみせますから!」



俺は穏便に済ませようとしたよ? 俺はね?

でもさ、ここまでされたら黙っとくわけにもいかないだろう。


「いらない。邪魔だ。足手まといにしかならない」


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