決着は突然に

出来れば早々に足とかの関節をやってこけさせてから一方的に攻撃をしたいところなのだが、そう簡単に事が進むわけもなく。

一応狙ってはみるものの当たらないというのを何回か繰り返しているうちに俺は絶望していた。

なぜかって?


筋肉痛がエグイからだよ!



「主よ。今までよりはやはりこちらの方が効率は良さそうじゃぞ。1点に負荷をかけたほうがもろくなるもんじゃしのう」


と、オーシリアが言うように攻略自体は本当に順調なのだろう。

しかし、それとこれとは話が別である。とにかく痛い。


「まぁ、やるしかないんだけどな!」


それでも体に鞭打って一定のペースで攻撃はしていく。

迷宮こんなとこなんざ一刻も早く出たいのだ。

終点が近くなると、人間かなりやる気が出てきて力を発揮できるものである。

こういう時程警戒しなくては。油断大敵。




ちまちまとヒット&アウェイを繰り返し、凡そ8時間が経過した。

アグ・ラグ発動から20時間ほどたったというわけである。


「いや、ほんとに俺の攻撃力って救えないな!?」


ボスのHPは最大時の100から40ちかくまで減っているはずだが、未だに倒せていない。

アグ・ラグがあってこれなら、無しではどうにもならなかっただろう。


そろそろ俺の気力も尽きてきて攻撃と休憩のどちらが多いかというと、圧倒的に休憩だという状況になってきた。

24時間も近づいてきて、焦る。


「このペースで倒せるのか?」

「わかるわけないじゃろう。やるだけやった後に考えるがよい」

「……それもそうだな」



「よし、こっからは全部使うぞ」

「というと?」

「そろそろバインドもかなり効くだろ。抑えられれば俺の攻撃もしやすくなるしな」

「なるほどの。そういえばこのところ試しておらんじゃったな」


納得する素振りを見せたオーシリアはそのままチェーン・バインドを4重に発動する。

少しだけ動きは止まるが、暴れられると拘束は解かれる。

しかし、明らかに前よりは拘束時間が長い。

これはバインド多用だな。


そんなこんなで壁をとってから避けて、ボスが壁にぶつかって硬直している時にチェーン・バインドを5重発動してもらって攻撃するというサイクルが生まれた。

今までより格段に効率は良さそうだ。

結果として散々攻撃してきた右足の部位破壊に成功。

機動力を低下させた。


しかし、この時点で22時間経過。もう時間がない。



「オーシリア、試したいことがある」

「なんじゃ?」

「次にボスが俺に襲い掛かるタイミングで1本だけ首にバインドをかけてほしい」

「? わかったぞ。しかし、そうなると主は大丈夫なのか?」

「上手くやるさ。頼むぞ」


俺は休憩から立ち上がり、呼吸を整える。


「よし、今!」


飛び出してくる骸骨の首にチェーン・バインドの鎖が巻き付く。

少し足止めされている間に後ろへ回り込み、その鎖を思いっきり引っ張るとゴキュッという音と共に首が落ちた。


「うああぁぁぁーー!?」


自分でやったこととはいえ、髑髏が足元に転がってきたらビビるので飛びずさる。


「お?」


頭が落ちても立っていた体部分がバラバラになって落ちた。

これは勝ったのか?

ポリゴン片にならないので警戒して小太刀でつんつんしていると、しばらくしてから消えていった。

周りを見ると、捕まえていたゴーストやゾンビも消えている。



「やっと終わったか……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る