自分はいいけど他人はダメ

改めて考えると、骸骨の弱点って何なのだろうか。

今までタイミングしか考えておらず、どこに攻撃するかは二の次だったのだが、ステッド・ファストで抑えられるならどこに攻撃すればいいのかを考える余裕が出てくる。

しかし、骨というのはかなり丈夫なものである。

まぁ、そうポキポキいかれても問題なわけだが。


「やっぱ狙うなら接合部かな?」

「そうなるかの。上手くいけばとれるんじゃないかのう」


相談しながら体に鞭打って徐々に下へと降りていき、骨と骨との接合部を確認する。

本来ならそこは関節包というものに包まれており、バラバラにならないようになっているはずなのだが骸骨なのでそんなものはない。

あれどうやって繋がってるんだ?



「で、今アグ・ラグかけてからどんくらいたってるんだっけ?」

「そうじゃな、ちょうど半日といったところではないか?」


となると100中の65くらいにはなってるわけか。


「よし、壁を張りなおしてもらうぞ」

「お安い御用じゃ。で、どのようにかの?」

「今作ってる部屋を9個、3×3にして作って欲しい。今あるのは角にしてくれ」

「けっこうMPを食うが……、まぁ主なら大丈夫かの」



俺は一瞬なら無理をすれば動ける。

しかし、少し長い距離になると筋肉痛が響いてどうにもならなくなるだろう。

ということは俺が攻撃してからすぐにステッド・ファストを張って守ってもらわなくてはいけないということだ。

その際に、先に部屋の位置がわかっていればやりやすい。そこまで逃げ切ればいいってことが明確だからな。

そうできるような立ち回りを意識できる。


「あと、俺との間に張りなおす時はボス側にだけそれほど鋭くなくていいからとげのようなものを作っててくれ。勢いで多少はダメージ入るだろ」

「むぅ……。また難しいことを要求してくるのう」

「それしか取り柄がないんだろ? 頑張ってくれよ」

「む! それはダメだぞ主! 自分をディスるのは別になんでもないが、人に言われると傷つくことはあるじゃろう!」

「全面的に同意する。すまなかった」


そんな問答を続けながら地面に辿り着く。


「よし、じゃあまずは俺をあいつのいる隣にいれてくれ」

「わかったのじゃ」


俺が地面に降りてきたので攻撃対象がはっきりし、こちら側の壁にへばりついている。

正面からこの距離でむきあったことなかったから今までは特に思わなかったが、かなり絵としてきつい。

ゾンビの方が汚らしい印象はあるが、汚れてどす黒くなっている骨も中々だ。



「よし、壁とってくれ」


俺の指示でオーシリアが間の壁を取り払う。

と同時にこちらに向けて襲い掛かる骸骨。

それをあらかじめ決めていたバインドによってそらし、他の面の壁にぶつかって硬直しているうちに関節部分めがけて斬りつける。


しかし、素人にそんな繊細な斬りつけが出来るわけもなく、骨を斬りつけただけに終わる。


「……退避っ!」


俺が飛びのくと同時にこちらを振り返った骸骨が攻撃モーションを開始するが、オーシリアが作った壁にぶつかって不発に終わる。


「うん、この調子で良さそうだ」


身体はぎりぎりだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る