日々の慣れは大切だよね

あれから数日、トライ&エラーを繰り返すこと何回か。

ある程度までは進めるようになってきた。数体ほど倒したところでダメージを受けて逃げ帰るという日々が続いていた。

ここ数日でわかったことがあると言えば、エネミーのリポップが思っていたより遅いということだ。日々倒していくにつれて奥に行くまでに倒さなければいけないエネミーの数が減ってきているのだ。

これなら奥に辿り着くのも時間の問題だろう。


というのも地下2階は基本的に一本道なのだ。ちょいちょい横に抜ける道があったりもするが、すぐに行きど

まってアイテムが落ちていることが大半だ。

そのアイテムというのは別に剣が落ちてたとかいうのではなく、食料が落ちていることが多い。

それでいいのかダンジョンとは思うものの、俺としてはこれ以上ないくらいありがたい物資の補給なのでここのダンジョン主にありがとうと言いたい。ダンジョン主が管理しているのかは知らないけど。


「今日はここらへんで終わりかな?」

ここ何日かで同じような行動しかとってないので引き際が来るタイミングがわかるようになってきた。

いや待てよ?ここでもうひと踏ん張りすればいいのでは?ここでやられるってわかってるなら慎重にいけばいいだけじゃね?

どうしてこのタイミングで気づくのか。自分でやることが安定してきて余裕が出てきたということなのだろうか。


「よーし、次はどの色だ?」

次くらいは倒してやろうと意気込んでゴーストを待ち受ける。近くにねずみがいるのはもう気配でわかってるからな。

「お」

黒か。初めて見たぞ。黒ってことは闇か。

ってか見にくいなおい!?光があるからギリギリ見えるけどその影とも同化してるような勢いだぞ!?


「はいこんにちはー」

ステッド・ファストでゴーストを閉じ込めてブレスなんか届かないようにする。

最初は壁を作っていたのだが、閉じ込めたほうがいいことがわかった。

というのもブレスが終わっていざ斬り込もうって時にブレスがまだ残っててダメージをくらったことがあるからだ。

その点これならしっかりと確認できる。ブレスは連発できないみたいだし。


「よっし、いくか」

ブレスの霧(?)みたいなのが晴れたのを確認し、小太刀を抜いて斬りつける。

ゴーストに当たって消えていくのを確認しながらねずみに視線を向ける。

「チェーン・バインド」

今回のダンジョン攻略で多用しまくっていたリヴィ・バインドが派生してチェーン・バインドとなった。

これによってより強固に相手を捕縛することが可能となった。


なぜねずみにそこまでするのかというと、リヴィ・バインドでは逃げられてしまうのだ。

何度か捕まえたことはあったのだが、そこはねずみもエネミーなわけであり、噛みちぎられて逃亡を許してしまうのだ。

さすがに金属は頑丈で逃げられたことはない。

「ごめんよ」

ねずみは逃げ回っているだけなので倒すときに拘束を解いて小太刀を振り下ろす瞬間は心が痛むが、そうも言ってられない。なにしろこっちもリアルに命がかかっている。


「さてと、もうひと踏ん張りした甲斐があったなぁ」

しっかりとポリゴン片となったことを確認して先に目を向けると、更に地下へと続く階段がぽっかりと口を開けていた。

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