ロリコンとの境界ってなんだろうね

「うん、リブレさん、久しぶり」

「しゃべるのが上手になってる!?」

「練習したから」

成長したな!体の方はさほど成長していないようでなによりだ!抱きかかえた時の幸福感がやはり違う。

「リブレ君、やばい顔してるよ?」

おっと、いけないいけない。心情が表情に表れていたらしい。


断っておくが、俺はロリコンではない。ほら、赤ちゃんってかわいいねっていう感情だよ。決して恋愛感情などではない。かわいいものを愛でてなにが悪い!

プリンセの頭を撫でると満足げな顔をしながらしっぽを揺らす。

こういうことなのだよ!


「で、どういうわけで上から落ちてきたんだ?」

「?リブレさんが見えたから…。挨拶しようかなって…」

乱暴な挨拶だね!?ネコ科のプリンセはともかく俺は階段から落ちるか受け止めた衝撃で潰れるかで死に近いとこまでいってたかもだぞ!?堪えたからそんなにHP減ってないけど!

上を見上げるが、近い高さに窓はなく、壁が伸びているだけである。

「ちなみにどこから落ちてきたんだ?」

「あそこ」

プリンセが斜め上を指さすと、確かに目算20メートルくらいあるところに開いた窓があった。

あそこから階段に向けて跳ぶとか…。

シンプルに無茶である。


「あそこに住んでるのか?」

「うん」

プリンセがこくりと頷く。

「ここの方がパパのとこにいるより面白いから…」

面白いって…。

虎族なのにおとなしい性格をしているプリンセが面白がるってなんだ?


「例えばどんな風に面白いんだ?」

「えっと、この前は鷹族の文官さんが執務室の様子を盗み見ようとして、おじいちゃんに言われてた警備の人にぼこぼこにされて牢屋に連れていかれてて…」

おぅ…。

「その前は虎族の力自慢の人が王の座をかけて勝負しに来て、たまたまいたチーター族の長さんに八つ裂きにされてて…」

「うん、もういいや」

前言撤回。やっぱプリンセも虎族だったわ。その凶暴性が静かなだけで。


「っておじいちゃん?」

「うん。あ、皇帝様のことだよ」

皇帝をおじいちゃん呼びか…。

「それ本人にも言ってる?」

「?うん…」

「そしたらカイルさんはなんて?」

プリンセは斜め上を向いてちょっと思い出そうとする。

「えっと、『はーい、なんでちゅかプリンセちゃん!』みたいなこと言ってたような…」

おい、爺さん。俺らの前では威厳のある態度とってて「なんでちゅか」とか使っちゃダメだろ!

アミラは硬派な感じだったからプリンセの柔らかな雰囲気がいいんだろうな。


「リブレ君、そろそろ戻らないと…」

横でにこにこと沈黙を貫いてたキラがここでやっと口を挟む。

「あ、そうか。早くランガルに戻って対策を協議しないとだもんな」

「リブレ君も早く帰ったほうがいいだろうしね」

どういうことだ?

「ねぇ、ランガルに帰るの?」

俺がキラに疑問を投げかける前にプリンセから質問が来た。

「あぁ、そうなるな」


「じゃあ、わたしも連れて行って欲しいな…」

また面倒なことになりそうな予感…。

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