兄弟の呼び方って個性でるよね

「287!?」

「うん、そうだよー。お姉さんが若かったから良かったけど、女性に気軽に年齢聞いちゃいけないよー?」

正直聞かないほうが良かったと思ってるわ。ちょっと年上なのかなーくらいの印象で留めておきたかったところだ。もうお姉さんとか言う次元じゃないしな。15代前くらいになる年齢だろ?ひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいばあちゃん的な。想像もつかんけど。

「そういえば名前も聞いてない気がするんですけど…」

「あれ?言ってなかったっけ?」

そりゃ一人称が『お姉さん』だしな。


「そうだねー。リオンと名乗っておこうかな?」

「実名じゃないんですね」

「そうだねー。可愛くないんだもん。あ、敬語もいらないよ?」

「あぁ、わかった。そうさせてもらうよ。なんかもう敬うとかの話とかじゃないからよくわかんないや。


「じゃあ、リオンの家に行ってもいいか?」

正直ここのことを何も知らずに行動するのはきつい。

「いいよー。んー、この感じこの感じ!」

なにが。

「お姉さん、一人っ子だからさ。弟とかいたらこんな感じかなーって!欲を言えばお姉さんって呼んで欲しいところだけど…」

俺はぶんぶん頭を横に振る。

「嫌みたいだから、リオンで我慢する。そういう兄弟の呼び方もありだよね!」

いや、俺も一人っ子だったからわかんないけど。


「じゃあ、行こうか!」

そう言ってリオンが歩き出すのについていく。

「さっき魔族はそれぞれ独立しがちって話してたけどさ。ということは街とかいうのもないのか?」

「んー。そういうわけじゃないよ?魔族にも色々いるからね。お姉さんはあんまり街に近づきたくはないかなー」

ふーん。種族(?)が違ってもやっぱそれぞれ思うとこはあるんだなー。


「着いたよ!」

近っ!

「家から弟君が落ちてくるのが見えて出て行ったからね」

ちょっと待て。

「弟君っていうのは俺のことか?」

「?それ以外誰がいるの?」

いや、そんな当然じゃない?って感じで言われましても!いつの間に俺はリオンの弟ってことで定着しちゃってんの?


「俺はリブレだ。頼むから弟君はやめてくれ」

俺も自己紹介をしてなかったのを思い出し、呼び方の修正を試みるが、

「わかったよー。リブレ、だね?弟君」

いや、直ってないじゃん。確認までしてんのに。


「まぁ、そんなことは気にしないでー。ようこそ、我が家へ」

「和式!?」

なんと案内されたのは昔ながらの古風な和式住宅だった。木造の縁側があるタイプ。新しいようだが、この畳の感じは落ち着く。

「ってか今いきなりこの家現れなかった?」

「そうだねー、存在偽装かけてたからね。お姉さんが迎え入れない限り見えないようになってるよ。弟君もここに入ったら外からは見えないようになったから」

なんて便利な。


「どのくらいの範囲が効果あるんだ?」

「えーと、ここらへんからー…」

今入ってきたあたりを示して、その指が家の向こう側へ向けられる。

「あっちの食べ物があるとこの向こう側あたりまでかなー」

言われた方のをのぞき込むと、そこには見渡す限りの田畑が広がっていた。

「いや、広っ!!」

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