国連が最大限働いたらどうなるんだろう
「えーと、今回の街道整備の担当になりました、リブレと言います」
俺はランガルに戻ってから一息つく間もなく、力仕事要員の皆様の前に立ち、今回の説明をしていた。
なぜそんなに急ピッチで話が進められているかと言うと、話が決まってから条約の調印までにいろいろと面倒な作業があったらしく、ドルガバに数日滞在した。その間にキラが「ちょっと出かけてくるよ」って言っていなかったタイミングがあったのだが、その間に一人で国に戻って王様たちに話をつけていたらしい。俺が責任者になるというとこまで含めて。
そんなこんなで帰ってみたら既に働く人の第一陣が集まっており、むげに帰すわけにもいかなくなっていたのだ。
この国は人使いが荒すぎるぞ!
「で、とりあえず皆さんには石材を扱う技術を得ていただきたいと思うんですけど、何か質問などありますか?」
「はい」
「あ、じゃあそこの女性の方」
この時点で質問あるのか。様式美で聞いただけだったのに。
「あなた誰ですか?」
あ、そこ!?確かにそれはこの段階で聞くわ。
「折角キラ様と一緒にお仕事ができると思ってたのに!」
キラ様?なんで崇めてんだよ。
「そこの人とは違うが、俺もそれは知っておきたいな」
前の方にいるゴリゴリのおっさんも口を開く。
「自分たちに指示を出す奴がどんな奴かくらいは知っておきたい」
うーん。どう説明したものか…。
「彼は今回の戦争を終わらせた張本人だよ。加えて、この街道整備の発案者でもある」
キラが俺がのってる朝礼台(?)みたいなのに登りながら皆に言う。
「おい、それは…」
「キャアアアアアアァァァ!!!キラ様ァァァァァ!!!」
俺のキラへの抗議はキラ教(?)のお姉さま方の黄色い声でかき消される。
キラ、二つの意味で許すまじ!
「そういうのは隠しとけって言ってただろ!」
「それがそういうわけにもいかなくなったんだよ」
どういうことだよ。
「あれ?まだ王様から聞いてないよね?この世界には統治協会っていうのがあるんだけど…」
「なんか王様が言ってたな。協会がなんちゃらって…」
結局うやむやなままだったけど。
「それのことだよ。えっとね、その協会っていうのは国と国とのパイプのような働きをしてたり、国家としての最低限のルールを決めたりしてるんだけど…」
なるほど。国連みたいなもんか。
「そこは序列も決めてるんだよ」
序列?
「うん。序列」
いや、そう言われましても。
「なんの序列だ?」
「またまた。察しはついてるよね?
えぇ!えぇ、わかってましたとも!俺の存在を隠しきれなくなるってことは!個人が発表されるってことだろ!!
「さすがだね。正解だよ」
でしょうね!
「それで、それはどういうシステムなんだ」
「お、呑み込みが早いね」
諦めて開き直ってるだけだよ…。
「えっと、基本的には二つ名持ちで強さとか、影響力とかその他もろもろを基準として選ばれるらしいんだけど…」
その他もろもろの部分が凄く気になる。
「だいたい100位前後までかな。世界に発表されるのは」
その時点で100位以内確定じゃん。
「俺の順位は置いとくとして…。他には入ってるやついないの?」
「えっと、本来はお后様が入ってておかしくないんだけど、一度も使ったことないから序列ついてないね」
あれはいれとくべきだろ。世界に注意を促す意味で。
「姫様が47位だったかな」
あれで!?化け物しかいねーじゃん…。
「あとは、僕が92位」
ほー。さすが。
「そのくらいかな。あ、カイル殿は26位だったよ」
未来予知で26…。
「で、俺は…?」
落ち着け。心頭滅却。
「78位だったよ」
集中…。冷静に…。落ち着け…。
「っていやできるかぁ!!」
キラより上!?
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