初対面の印象って8割くらい態度だよね

えー、わたくし、リブレがお送りしております、映像をお伝えいたしますとですね、なんと床です。


床。


あの後、ミニマム・ボルトを喰らった俺は麻痺し、倒れて起き上がれなくなっている。

あー、状態異常なんかあるんだー。

まぁ、雷喰らって死なないんだからそんくらいはあるかーと思って時間を過ごしている。


「それ、大丈夫なの?」


さすがのチーター族の使者さんも俺の扱いに驚いている。


「えぇ、大丈夫です! ちゃっちゃと話を進めちゃってください!」


にこやかにレインが対応している。

いや待て!

大丈夫じゃねーから!

床に転がしとくのやめてくれ!

てか俺が発案したのに俺抜きで進めちゃうつもりですか!?



「じゃ、じゃあ、えっと……」


ためらいがちに話し出すチーター族のお姉さん。

ちらちらと向けられるこちらへの視線を感じるのが非常に心苦しい。


「私は獣人帝国ドルガバのチーター族、名をアミラという。謁見すること叶い、光栄だ、エルランド王。多少、作法に慣れていないところがあるかもしれんが、ご容赦願いたい。して、この文を書いた者はどちらであろうか。是非、話をしたい」


そう王様に話をするが、俺の記憶が間違ってなければ……。


「そうか、はるばるご苦労である。じゃがのう、すまんがそれはできんのじゃ」

「どうしてだ? 我々はこの草案を高く評価している。我々を恐れているというのなら、仲介を挟んでも構わない。どうか取り次いで欲しい」

「あぁ、すまん。言い方が悪かった。それを書いたのはそこの男なのじゃよ」

俺です。

「………」

むこうが絶句してるのがわかる!

見なくても「こいつが!??」って思ってるのがわかる!

ごめんなさいこんなので。


「なのですまんが、少々待ってもらうしかないのう」



数分後……。


「えっと、俺が手紙それ書きました。あ、リブレっていいます」

「リブレさん、その口調なんですか」


しょうがないだろ!?

初対面の人に初めて見られたのがあの格好で!

その後真面目に会談しろって言われたらさすがに気後れするだろ!


「そうか、本当にあなたが……」


なんかごめんなさい。


「い、いや、決して失望したとかそういう意味ではないのだ。てっきりもっと老いた方が書いたのではないかと思っていてな……」


うん、失望されたとかまでは思ってなかったんだけど?


「なにしろ、あのような発想は我々獣人族にはあのような柔軟な発想などないのでな……」


俺がショックを受けてることなど気にせず、アミラさんは話を続ける。

って、え?

柔軟な発想?

そんなすごいこと書いたっけ?

あとはお偉いさんたちで決めてもらえばいいやーって思って当たり障りないことしか書いてない気がするんだけど……。



「なんて書いたんですか?」

「いや、それがあんまり覚えてなくて……」


こそこそと話し合う俺とレイン。


「このような考えを持つ方となら友好的な関係を築けるのではないかと考え、私はここに来たのだ!」


そんなことはおかまいなしにアミラさんは話を続ける。

自分の世界に入って周りが見えなくなるタイプだな。


「全面戦争なら勝ち目がなさそうなことは理解したが、一対一なら負けないと豪語していた父上も負けてしまったのでな! 代わりに私が来たというわけだ」


ん?

なにその話。

聞いてないんだけど?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る