国家戦争
束の間の休息
「さぁ、いくか」
「はい!」
こっちに来てから初めてゆっくりできるな。
気心知れたレインが一緒だというのも心強い。
「レインはなんか買いたいものあるのか?」
あの後王様からぶんどったお金があるからまぁまぁ余裕はあるぞ。
「いえ、そんな悪いですよ……」
レインは遠慮しているのかなかなか言い出さない。
「アクセサリーとかか? 女の子だし」
というかそれくらいしか思い付かない。
「アクセサリーは大丈夫なんですけど……。着けることないですし」
確かに見たことないな。
「遠慮するなって」
少々黙った後、
「じゃあ、服が欲しいです。今までお母さんが作ってくれたやつか自分で作ったやつしか着たことないので……」
そうだったのか。
って、え?
「今着てるやつはちなみに……?」
「あ、自分で作ったやつです」
いやいや待て待て。
「そこらへんの店にあるやつよりよっぽど質がいいような気がするんだけど……?」
「またまたー。誉めても何もでないですよー」
まともに受け取られてないな……。
真面目に売り出せばまぁまぁ金取れる自信があるぞ。
「いらっしゃいませー」
とりあえず見つけたところに入った。
あ、ミスった。ここ男子禁制っぽい雰囲気あるわ。
「レイン、俺外で待ってていいか?」
「ダメです。置いていかないで下さい」
詰んだ。
「あのー」
店員さんが声をかけてきた。
「そちらの方はエルフですよね?」
?
「そうだけど……」
「やっぱりですか。当店は人間用の服を販売しているのでエルフの方が着れるような服はないと思われますが……」
それを聞いたレインの顔が曇る。
あ?
これがエルフ差別か。
「何でだ? エルフは人間と体の構造は変わらない。人間が着れるものをエルフが着れない訳がない」
こういう意味で言っているのではないとわかってるが、わからない振りをして押し通す。
うちのパートナーのウキウキ気分を台無しにしておいてただで済むと思うなよ!
いつか何らかの形で仕返しをしてやることを心に誓う。
それを見てレインも復活した。さっきよりもテンションは下がっているが、俺への{信頼}により何を言われてもいいって感じで落ち着いたらしい。
「どうだ。気に入ったのはあったか?」
「ありすぎて困っちゃいます」
「試着したらどうだ?」
「そうですね」
その後1時間にわたってレインのファッションショーが執り行われた。
どれも似合っていて甲乙付け難かったのだが、結局本人が気に入った3着を買った。
「疲れた……」
「女性の買い物に付き合える男のひとはモテますよ」
いいよそんなの……。
俺が引きこもりなの忘れてない?
会計をして、その高さに震えていたらキラが急いだ様子でやって来た。
「やっと見つけた!」
「どうした?」
「探したよ。二人にすぐ来てほしいんだ! 事情は行きながら話すよ」
買った服の袋を大事そうに抱えたレインと一緒に走る。
「で、わざわざ探しに来るなんてどうしたんだ?」
「君たちには寝耳に水の話かも知れないけど」
「隣国が攻めてきたんだ」
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