レーザーが決まった方向にしかいかないのよく考えたらすごいよね

「おい、お前ら! なんで俺の能力には誰も触れないんだよ!」

「いやー、僕たちなりの気遣いといいますか……。触れられたくないかと」

「やめてくれ! 気を遣わないでくれ!」


自分でも悲しくなるだろ。


「でも実際どんな使い道があるんですか?」


レインが聞いてくる。



「そうだな……。キラみたいに俺が目で追えないようなのには効果はないけど……」


そう言って無詠唱でリヴィ・バインドを5重に発動させる。


「なんですかこれぇー!!」


レインをぐるぐるに縛り上げる。


「こちらの魔法の発動を悟らせずにこれができるのは大きなアドバンテージだと思うぞ」



これを見てキラも興味をそそられたのか、


「じゃあ僕みたいなのにはどうするんだい?」


と聞いてきた。

自分で言うか。

そうだな……。


「じゃあ攻撃してみてくれ」

「いいのかい?」

「まぁ試さなきゃわかんないからな」

「じゃあ遠慮なく……」


キラの姿が消える。


と思ったら真横でガゴンッって音がした。

俺の隣の空中でキラの蹴りが止められている。

ステッド・ファストを全方位に張った結果だ。

一応はどこからの攻撃でも身を守れるようになった。


「なるほど。おもしろいね」


キラが感心したように言う。


「俺が動けなくなるから利便性には難がありすぎるけどな」

「あのー僕が忘れられてると思うんですけど……。早く降ろしてもらってもいいですかね?」


あ、忘れてた。


レインが怒って「今日のご飯は無しです!」とか言い出したのでなんとか平謝りして許してもらった。

王様には俺たちはこれからも普通より弱い冒険者として過ごすことを伝えた。


「そうか……。我が国からすると大きな損害なのじゃが……。無理強いするのもおかしいしのう」

「まぁなんか困ったら呼んでくれよ。力になるかはわかんないけど、キラとかルーリアとか友達のためならなんとか頑張るさ」

「本当か!?」

「無償ではないけどな?」


貰うもんは貰うぞ。



「それで思い出したのですけど」


ルーリアが言う。


「私はリブレ様になにも恩を返せていませんわ」


お、そっちから言ってくるとは予想外だな。


「国の危機を救っていただいたのに……。なにもしないわけにはいきません」


律儀か。


「なら友人に対する貸しってことにしとく。また今度返してくれ」


今は別になんもないしな。


「わかりましたわ。心にとめておきます」



「よし、じゃあ帰るか」

「そうですね。今日はとっても1日が長かった気がします」


その夜……。

「リブレさん。明日はどうしましょうか」

「そうだなー。この頃忙しかったからな……」


体ばっきばきだし。筋肉痛で。こんな動いたの久しぶりだ。


「明日は折角だから二人で町にでも行くか?」


休養がてらぶらぶらしようと誘うと、


「そ、そうですね。いいと思います!」

「? なんで今{歓喜}なんだ? そんなに町に行くのが嬉しいのか」


と聞くと、


「リブレさん、私言いましたよね……」


とか暗い笑顔で言ってくる。

あ、これ以上言うとまじで目潰されるわ。


「ごめんなさい」


王城ではあんなにかっこつけたのに年下のエルフ美少女には頭があがらないのであった。

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