リンガルの町東部 レンガルの森

森林ってよく見ると「木」が5個しかないよね

次の日、俺はレインが階下で作っている朝ごはんのにおいで目が覚めた。

寝ぼけていた頭が覚醒していくにつれて昨日の主人公じみたかっこつけたセリフがよみがえってくる。


「死にたい……」


なんだよあのセリフは!ゲームの主人公でもあんなくさいセリフ言うかどうかってとこだぞ!



ふと布団の上を見るとレインが見繕っていてくれたらしい替えの服が置いてある。

着てみると、おぉ。ぴったりじゃん。




そのままふらふらと台所へ。


「あ!おはようございます!」


レインの表情がこころなしか昨日より安心しているように見える。それだけでも昨日の誓いには価値があったのだと思える。



「あぁ。おはよう」


返事をするだけでにっこり笑って美少女スマイルを振りまいてくる。

あー、くそ。可愛いな。



あ、そうだ。


「レイン」

「はい?」

「お前なんで俺の服の大きさわかったんだ?言ってないだろ?」



「え、ぁ、それは、(夜、リブレさんが寝付いた後に起きて抱き着いて寝たからわかったんですけど……)」


? おぉ、色白だとそんなに真っ赤になるのか。でもなんでそうなるんだ?


「おーい、聞こえないんだが?」

「は、はい! 体格が、お父さんに似ていたので、お父さんの服なら合うかなと思っただけです! どうですか?」

「いや、そんな早口で言わなくても……。大きさは問題ないよ」




「そうですか。それはよかった。さあ、朝ごはんにしましょう!」


そう言ってそそくさとご飯の準備をすすめるレイン。

まあいいか。おなかすいてるし。



間違いなくおいしいレインの手料理を食べながらふと、


「なあ、ご飯とかでパラメータに変化とかでないのか?」

「あーそれはフィールドからとってきた食材ならなるらしいですけど。一般には販売されていないらしいんで、難しいですね」


そうなのか。探せばあることにはあるのか。ちなみに……。


「なあ、ここら辺に『米』はあるのか」

「? なんですかそれ?聞いたこともないですけど……」


なるほどなー。米はないのかー。最優先で探す必要があるな。



「で、今日は森に向かうんですよね!」


かなりテンションが上がった様子でレインが聞いてくる。


「そのつもりだけど……。なにかあるのか?」

「さっき話に出ましたけど、食材の宝庫なんですよ! 罠とかで捕まえられる動物もいますし!」

「ちょっと待て。動物とエネミーは別の存在なんだな?」

「? そうですよ? リブレさんの村は何を食べているんですか。雑草ですか?」



う。ちょっと気を抜いてた。そういや口悪いんだった。


「いや、エネミーから食材とか出るだろ?」

「それは出ますけど……」

「だから似たようなもんだと考えてたんだよ」

「うーん、いまいち納得できないですけど……」

「よし、ご飯も食べた! 森に行くか!」

ここは強引にでも話を切り上げておく。レインは全く納得してなさそうだが……。



「で、森のエネミーはどんな感じなんだ?」


道すがらレインから情報を仕入れておく。


「大きく分けて2種類ですね。動物ビースト系と昆虫セクト系です。どちらも食材になりますが、私は後者は調理したくありません」


まあそうだろうな。


「レベルは草原と同じくらいですかね」


となると周りの活かしようによるか……。



「あ、見えましたよ。あれがレンガル森林です」


リンガルの町の周りにレンガル森林て……。安易か。いや、え?


「木、でかくね?」

「そうですか? わかんないですけど……」


えー。1本1本が軽く50メートルくらいあるなんて聞いてないけどー。この中で生活してるとなると……。



ズズゥン、ズズゥン。

あー、やっぱりか。

森の奥から7メートルはありそうな猪みたいなのが近づいてくる。


「だろうな」


そろそろ慣れてきたぞ。よし、逃げよう。


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