戦力より戦略。

haruhi8128

異世界1日目と順応

異世界って自分が行ったらもう自分の世界だろそれ

「どこだ?ここ」


目を開けて、閉じる。そして開けて、閉じる。


まだ記憶が曖昧なようだ。整理してみよう。昨日、俺はいつも通り日常を過ごした。学校をサボったそしていつも通り日課クエストをこなした。うん、覚えてる。で?

……寝た。

それが日常だもの。


でもなんでこんなとこにいるんだ?てか周りにいるあの耳のながーいあの方はもしやエルフ?ていうことはここファンタジー?見たところ市場のようだが……。通貨が見たことないな……。まあそれはそれとして。俺は今どういう立ち位置なんだ?勇者?賢者?

ゲームのなかならステータスウィンドウがひらけるはず……!!


(はぁはぁ)いや、へそを押すとステータスウィンドウをひらくってどんなつくりだよ!

まあいい。これがひらけたということはここはゲームの中だ。ステータスはLv.1……。は?

嘘だろ?異世界転移ものって普通チートキャラか最弱の特殊能力持ちだろ?なんもねーの?


とりあえず所持品はー……。

200ルベル?200ルベルっていくらだ?パンでも買えばわかるか……。


「おばちゃーん、パン一個ちょうだーい」

「あいよー。200ルベルね」


あ。パン一個の値段なのか。てことは一文無しになってしまったのか……。まあこういうゲームは町の周りで小遣い稼ぎができると相場が決まってる。一度行ってみるか。


えーと……。なにこれ。なんで最初の町の外のエネミーのレベル11なの?ありえないでしょ。勝てねーよさすがに。


町に戻り、情報を集めることにした。

町の人がいうには町の中心の大樹の麓でクエストやパーティーの募集をしているらしい。

行ってみると、おぉ。なかなかしっかりしている。

募集にはレベルの登録が必須だというので諦めてレベル欄に1と書く。その情報が反映されると周りがざわついた。


「なんだ?」

「見ろよ。あの年でレベル1だってよ」

「レベル1が受けられるのなんてねーよ」


え、まじで?みんなレベル1スタートじゃねーの?



パッと見で俺をバカにはしてなさそうな人に事情をきくしかない。といってもあの金髪の豪傑くらいしかいねー。こういうのは普通美人キャラの出番だろ。とか思いながら、


「あのー」

「ん?何かようか?」

「なんで皆さんのレベルはだいたい10より上なんですか?」

「なんでってそりゃあ子供の時に訓練されるからだろ?なんでそんなこときくんだ?」

「いえ、確かめたかっただけで……」


なるほど。つまりこの年でLv.1な時点で詰みってことか。クソゲーだな。



「あの~」

「ん?」


フード被った少年がこちらを見上げている。


「パーティー募集してますよね?」

「あぁ。だが俺のレベルは1だぞ?」

「いえ、僕もレベル4なので入れてもらえないんです」

「あぁ、そういうことか。なら入ってくれるならありがたいが」

「ありがとうございます!!」

「で?お前の名前は?」

「あ、申し遅れました。僕はレイン・アルニィといいます。今年で12になります」


そういってフードを取ったその目はクリっとした碧。目鼻立ちはすっきりしてる。肌は透き通るような白。まごうことなき完璧な美形。髪はキラキラと輝く金で長い。ん?耳も長い……?え?あれ?



「なぁ、お前もしかして女?」

「もしかしなくてもそうですよ?あと聞かれそうなので先に言いますけど一応エルフですよ?」


少し拗ねた様子でレインは言う。


「あ、今さらパーティー解除できませんよ?互いの合意が必要なので」



こうして見知らぬ世界で最初のパーティーメンバーはエルフの美少女と相成ったのだ……。

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