第3話 いずれ真相は その1・その2
先入観にだまされちゃいけない。そう思いながら彼のマジックに危なく引っ掛かるところだった。彼が言っていたヒントを頼りにようやく日記を見つけた。
日記は日記帳でもノートでもなくノートパソコンの中いや正確には束のキーホルダーの中の一つUSBフラッシュメモリーの中だ。パソコンにUSBフラッシュメモリー挿し込んで操作を行うと画面に日記が出てきた。
〝わかったわよ、優作。日記読ませてもらうからね〟
生きている時にこれを言いたかった。悔しい!!
優作の言う通り、出会ってからあの日の前日までの日記が綴られていた。日付で笑いの顔文字から始まる日記とは別個の沈み顔文字Xというのがあった。
それが(日記の一部)〔親友が勝手に先生の写真をインターネットで売って儲けている事を知ってしまった。親友を裏切り告げ口など出来ない。だからと言ってこのまま野放しでほっとくわけにもいかない。〕
これであの三人とは別の人物に目を向け始めた。その男もフェラーリを所持していたが、容疑者圏外だった。
彼が必死で私に犯人を知らせてくれた謎のダイイング・メッセージが解けた。推理小説好きが思わぬところで役立った。それを指す人物は彼の日記と一致した。メッセージは歩いている写真から将棋の駒『歩』を連想して将棋なら最初は伊村則広かなと思った。だが、裏返しになっていた事を考慮すると相手陣地に入った時、『歩』の裏は『金』になる成金だ。つまりあのダイイング・メッセージはビラをいっしょに配って協力していた金田成雄の事だった。彼は死ぬ間際に金田の顔をチラッとでも見てこのダイイング・メッセージを残してくれたのだ。
ここから推測だ。
どうすべきかをあの日私に相談したかったに違いない。
おそらく彼はそれとなく金田に
〝もうやめてくれ〟と注意しただろう。彼は苦しみ抜いて金田に気持ちをぶつけた。金田は聞く耳を持たなかった。いつのまに彼に知られていたことを恐れた。彼の気持ちを金田は裏切って殺した。しかも事件後は私の協力者のふりまでして絶対許せない。
金田はまだ安全圏の中にいるため、油断しているだろう。
その一
まだ動機がなく容疑者圏外のままだ。まさか疑われると思っていないから車もそのままにしてあるか、すでに修理してあってもどこかはすぐ調べられるかもしれない。この推理を警察が信用してくれたらの事だが・・・
その二
これだけでは、いくらでも言い逃れされてしまう。
金田にぼろを出させる方法は・・そうだ!
彼を私が入っている掲示板にうまく誘って入らせる事だ。そしてさりげなく事件話の会話にしていく。その中で矛盾することを突いていけば何かぼろを出すに違いない。さっそく金田を誘ってこの一年の間に作戦を実行に移した処簡単に掲示板には入らせることはできた。事件の話をなにげなく挿んだら金田はそれにのっかってきた。あの日、彼には会っていないと言っておきながら彼の服装に関して鮮明にコメント書いていた。とうとうぼろを出した。果たしてこれが証拠に成るのかどうか。
こんなこと素人の私が考えなくてもプロの捜査でいずれ真相にたどり着き金田を追い詰めてくれると信じている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます