私には婚約者がいます

 私は商いを得意とするはくしやくに生まれた。

 名前はユリアス・ノッガー、高等学園に通う十七さい

 お父様もお母様もお兄様も頭がよく策略家で商売事をするのが得意だったため、はお金持ちの伯爵家であった。

 そんな家族に囲まれる私もおかねもうけが大好き、損することがだいきらいのしようこんたくましいれいじように育つのは当たり前のこと。

 食品の開発、出版物のせんばつ、手持ちの店の買いつけなどは任せてもらえるまでになっている。

 新たにやりたいこともたくさんある。

 そのために必要なことなら何でもやるつもりだ。

 話は変わるが、私にはこんやくしやがいる。

 こうしやくの長男でラモール・キュリオンという。

 キラキラしいサラサラのきんぱつかたまでのばした女性のようなかみがたはく色のひとみやさしそうに見えなくもない。

 その見た目に反してしようあらさが玉にきずの、顔はいいが頭の足りない男だ。

 身分が上の侯爵家からの申し出に逆らえるわけもなく決まった婚約であった。

 しかしキュリオン侯爵家は身分が上でもびんぼう

 かねづかいが荒いのは周囲から見ても明らかな上、しゆの悪い調度品をあさっているらしい。

 知っているかと聞かれたら、商売においてはうわさばなしも金につながるからだとしか言いようがない。

 だれもがうらやむ見た目以外にりよくがない男。

 まあ、頭の悪いだんさまでも人が好む見た目と侯爵というネームバリューを使って私があやつればいいか? と、思ったのもある。

 けつこんはビジネスでれんあいなんてお金のかかることに興味がなかったっていうのも理由の一つだった。

 そんな私の浅はかな考えが変わったのは高等学園二年になったころ…………。

 どうしてこうなったかな?

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