The truth in a moon(仮)

灑々來 拡

第1話 隠された真実

消毒液かな、アルコールの匂いがする

目を開けると見た覚えがない天井で、看護師さんが点滴を何か触っていた


そうだ、俺は帰り道に突然爆発に巻き込まれて...

身体に違和感を感じた


動けないな..頭だけは動きそうだ。

ゆっくりと自分の身体を見渡した


「えっ...」

(なんだ?おかしい...腕が.....無い)


看護師さんが気付いた

「大丈夫ですか?今ドクターを呼んできますので...」


「.....」

(嘘だろ...足の感覚もおかしいぞ...無いのか?)


いつも通り動かしている気はするがそこに物はない

数分後に自分の置かれている状況が理解できてきた

その頃には自然と涙が溢れ出てきて、もう前の自分には戻れないんだと悟っていた



(あまきかど)

「 天鍵門 ステラさんですね?」

「私は医者のモトイといいます。少し質問をさせてください。ご自身の記憶はありますか?」

「...はい」


看護師さんが体を起き上げてくれた

実感した...腕や足がない...



「そうですか...非常に残念ですがあなたは交通事故に巻き込まれた際に意識不明で当院まで運ばれました。」

「...」

「その際の記憶はありますか?」

「...はい」

吹っ飛んだ時の記憶はある。帰り道だった


「電話番号や住所、友人等の名前は思い出せますか?」

「...大丈夫だと思います」


記憶障害の相手に対する質問だったが特に問題ないと判断したのか2.3質問し、医者は立ち上がった


「事故の際に普段使われていた車椅子も無くなっていると思いますので、こちらをお使いください」

「...普段?..は使っていないです」

医者の言葉に違和感を感じた


「....?少し記憶が曖昧なのかもしれませんね、ゆっくり休んでください」

そう言い残し医者は部屋を出て行った


「身体を寝かせますか?」

看護師さんが優しく声をかけてきた


「このままで....大丈夫です」

「わかりました。普段は義足を使ってましたか?」


意味が分からなかった。皮肉なのか嫌味なのか相当性格が悪い看護師なのか

事故で両手足を失った人間にかける言葉とは思えない

「?....いえ...足があったので」


「....ははっ..そう....ですか....」

気まずそうに看護師は出て行った



何かおかしい


まるで元から俺が障害を持ってるような言い方だ













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