聖者《サンタ》がマジにやってくる…

0 ブラック・サンタ

　〝ブラック・サンタ〟というものを御存じだろうか？

　昨今、巷でよく目にする黒いサンタのコスチュームを連想された方も多いと思われるが、そちらではない。

　こちらは単にコスの色を黒にしただけではなく、サンタ同様、長い髭を持ってはいるが服装は真っ黒い修道僧のようなローブか毛皮、あるいは藁で全身を覆っており、手には白い袋ではなく灰の袋や長い棒を持っているという人物だ。

　そもそもはドイツの伝説に云われるもので、ドイツ名は「クネヒトループレヒト」。

　〝従者ループレヒト〟のような意味合いで、サンタクロースのモデル＝聖（セント）ニコラウスの従者であるともいわれるが、ニコラウスの赤いサンタに対して通称〝黒いサンタクロース〟と呼ばれているのだ。

　さて、このブラック・サンタ、良い子にプレゼントを配って回る赤いサンタクロースに対し、イブの夜に悪い子のもとを訪れ、嫌いなものをくれたり、ブタのはらわたをぶちまけたり、さらには袋に詰めて連れ去ったり……と、とにかくお仕置きをして回るのだと云われている。

　何か心にやましいことのある子にとっては、イブもおちおち祝ってなんかいられない、なんとも恐ろしい存在である。

　自分はもう大人だから大丈夫……そう思ったあなた、それは少々楽観的過ぎやしまいか？

　〝悪い子〟とは、別にこどもだけに限ったものではないのだから……。