男の娘、ヤンデレ、ストーカー、恋愛に狂気を織り込んだホラー仕立てのお話なのかな、と読み始めましたが、この物語……ちょっとそういう方向ではなかったようです。
むしろ、個々の心に深く根ざした過去の傷と向き合い、大切なひとを救わんとする物語なのだと思います。
主人公は二次元美少女が大好きな冒頭の彼女、なのでしょうけど、最後まで読んで、ある意味ではメインキャラ全員が主人公でもあるのかな、と。そう思えるほどに、各自の抱える過去は重く、傷はまだ癒えず、助けを必要としていました。(約一名、重くない爽やか系イケメンもいましたが)
傷や弱さを覆い隠して上手くやりおおせるようになってゆくのが、大人になるということなのかも?
出口なんてなさそうな病みの中でも、それぞれに寄り添ってくれる誰かがいて、それが徐々に救いとなってゆく。そんな希望を感じられるラストでした。彼ら彼女らが今度こそ幸せになれますよう願います。