第23話 暗闇の渦

 トリニティは校門の前に立っていた。彼は急に私たちの方へ走って来た。


 唐突に校舎の上に黒い大きな渦が出現した。

 校舎その渦に呑み込まれていく。


「逃げるんだ!」


 トリニティは私と星子の腕を掴み走り出す。羽里も一緒についてきていた。1㎞位全力で走っただろうか。星子はもう息切れして走れない様子だった。


「どうしたの? アレは何?」

 

 私の質問にトリニティは首を横に振りながら答えた。


「はっきりとはわからない。良くないことが起こっていることだけは確かなんだ」

「学校にいた人他達はどうなったの?」


 トリニティから星子を奪い返した羽里が質問する。


「詳しくはわからない。異世界に呑み込まれたと思う」


 異世界?

 呑み込まれる?


 もう訳が分からなかった。でも、怪しい転校生のトリニティが私たちを助けてくれたのは事実だった。

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