私が堕落ちゃん。

白檀

第1話 触れたい

私は堕落ちゃん!


___本名は山内冬子。


そこら辺にいそうな、山内という苗字。

そして冬に産まれたから冬子という雑な名付け。

平々凡々…と言いたいところだがテストの順位は180人中、140位くらいという最悪なおつむ。


別に病んでるわけでも病気を抱えてるわけでもないが病み垢とプロフィールに書いて、今日もうじうじと呟き続ける。

勉強もできない、運動もできない、部屋の掃除もできない(母曰くゴミ屋敷)、友達もできない、堕落した生活という名前にしよう!と最初は思っていたが、可愛くないし絡みにくいなと思って、とりあえずちゃんをつけてみた…という雑な名前。まあ結構気に入っているからいいかな。

あ、あと、たまに死にたいと呟くことも忘れずにね!


「今日もぼっちでした!」


そう呟くと、フォロワー500人の中の数人がイイネを押してくれた。

私は所謂、授業中のペア組んで〜と言う声にビクビクしているような人間だ。

人の目なんか見れない。人の目を見ると、飲み込まれそうで怖いの!



「お疲れ様〜!私も学校ぼっちやった〜!」


フォロワーの1人がツイートにリプライをくれた。

すぐさま、そのリプにイイネを押して返信を考える。


そう!この人は、海月さん!

アイコンもヘッダーも海月で、プロフィールには海月に刺されて死にたい。と書いてあるのが印象的。

とにかく海月が好きで、時々学校を休んで水族館に海月を見に行ってるそうだ。

海月さんは病院に通っているものの、不登校にはなっておらず、自傷もしていないそうで…

病み垢という一種の宇宙の中で、比較的、私と同じ材質で出来ている惑星だ。


「やっぱ、ぼっち最高ですね!」


しかし伊達にぼっちをやっていない私なので、コミュニケーション能力なんてないので、気の利いた返事も思いつかず少し落ち込む。

でも海月さんは優しくて、


「それな〜???いつかぼっち同士会おうな!」


こんな海の藻屑の私が生きる理由はコレだ。

やっぱ人間、1人じゃ生きていけないって本当なんだなっていつも思う。


会いたい。


人に会いたいって凄い生きる理由として真っ当で嬉しい。

こんなゴミでも普通に生きているという事実が嬉しい。

…でも産まれてきたくはなかった〜!!!と毎日寝る前に嘆くけど。



ふと海月さんが呟いてる事が目に付いた。


「今日のカネヅルまじキモかったわ」


…カネヅル?

海月さんは高校一年生だったはず…でもそんなキャバ嬢みたいなこと呟くか?


テレビで特集していた"パパ活"という言葉が頭の中に走った。


まさか…

まさか海月さんがパパ活を…?


考えるやいなや私はリプを送っていた。


「ん?海月さん、もしやパパ活してるんです?」


テストを返される時のドキドキ感と似ているな、と頭の隅で思うものの、

普通だと思っていた海月さんが法に触れるギリギリの事をしているなんて、と傷ついている私がいた…


「んー、ちょっと違う!コレは援交!」



画面を見張った。

え、え、えええ???え?


頭にハテナしか浮かばない。援交ってなんだっけ?と現実逃避するも聞いたこともあるし意味もハッキリわかってしまっている言葉だった。


えっ?あの海月さんが?

会ったこともないけど、勝手なイメージの中の海月さんがバラバラと崩れ去っていく…

まるで自分のことかのようにショックだった。





___そして援交というものにも興味が湧いてしまった。


海月さんが出来るなら私も出来るだろう。

純粋に、お金が欲しい。

セックスは気持ちいいのだろうか?

法に触れるという異世界に私も触れてみたい。


パパ活なんかとは違う、法に触れるギリギリなんてもんじゃない、


法に触れるという異世界の世界を友人が普通にしているという事実に少し興奮していた私がいた。



___ああ、触れたい。

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