第5話 友達が出来た
彼女は朝の差し込む光で目が覚めた。
昨日のことをぼんやり思い出す。
――確か・・・ あの後私力抜けて立てなくて、 それで背負ってもらって・・・!? うわぁああ!
彼女は赤面した。 男子に背負ってもらったのなんて生まれて初めての経験で、
思い出すと急に恥ずかしくなった。
そんな恥ずかしさを紛らわすためにさっさと学校へ行く準備をした。
私って自分から学校へ行きたいなんて思ったことあったっけ。
これも全部彩人のせいだ。 私は急いで準備をして家を出たが、
そこには彩人ともう一人意外な人物が出迎えてくれた。
「おはよっ。 色葉 」
「おはよう。 彩人君と・・・ 白崎さん? 」
「おはよ。 私のことは明でいいよ 」
そう、 里中のグループであった白崎明が一緒にいた。
「そんな警戒しなくても何もしないよ。 駒寺の—― 」
そう言いかけた彼女の口を無理矢理彩人は手で塞いだ。
「んんんんん!! 」
「あ、ごめん。つい塞いじゃった 」
「ごめんじゃねーだろ! いきなり塞ぐな!! 」
「だって明がとんでも発言しそうになってたから」
「はぁ? てかまだあのこと言ってないのかよ 」
「こういうのはタイミングってものがあるの! 」
小声で話す二人の会話は色葉には聞こえない。
「えと、 二人とも遅刻しちゃうよ? 」
それから三人は一緒に登校した。
途中、口を開いたのは色葉だった。
「二人とも仲いいんだね 」
「まぁ彩人とは入院仲間だからな。 てか色葉、
彩人見て何とも思わなかったのか? 」
「え?? 」
「いや、 何でもない。 忘れてくれ 」
明の言葉の真意が分からなかった。
そりゃあ私みたいなのに話しかけてくれるし、
寿命が見えるっていうにのには驚いたけど。
「そんなことより明、 準備は出来たの? 」
「そんなことって。 まぁそれに関しては大丈夫だろ 」
「え? 準備って・・・ 」
二人は私に助けてあげるとだけ言って詳細は教えてくれなかった。
今日もここから始まるのか。
教室の扉を前にして
昨日は彩人君を巻き込んで、今日はもしかしたら
明ちゃんを巻き込むかもしれない。
私のせいで、 これ以上巻き込みたくない。
でもそんな不安とは裏腹に彩人は色葉の肩を軽く叩く。
大丈夫と言いいながら。
彩人は勢いよく扉を開けた。
何が来るのかビクビクしていたけど、周りの様子はいつもと違った。
どこかよそよそしくなったり、私たちの新しい机が用意されていたり。
何より驚いたのが里中と鵜ノ宮が来ていなかったことだ。
何がなんだか分からなかったが、 その後ですぐに理由を知ることとなる。
学校による緊急集会。
全校生徒が体育館に集められ、 とあるクラスのイジメについて
校長が暴露する。そう昨日まで受けていた私たちのクラスの問題だ。
長々と語られたそれを生徒たちは誰一人私語をすることなく聞き入っていた。
イジメられていた人の名前は出さずに私が今まで受けてきたことが明かされる。
その結果、 木山は懲戒解雇。
里中、 鵜ノ宮については極めて悪質ないじめと判断され退学処分となった。
—―そっか二人の言ってたあの言葉ってこういうことだったんだ。
それから三人を標的にする生徒はいなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます