空想心理学読本

新橋九段

はじめに

 お、どっかで見たことあるタイトルだなと思ったそこのあなた。

 正解です。この連載の元ネタは柳田理科雄『空想科学読本』に端を発する一連のシリーズです。私がだいたい小学生の頃に出版されだしたこのシリーズはとても面白く、また科学的な思考とは何たるかの入門編を見せられているような知的興奮をもたらしてくれました。

 そんな私もすっかり大人になり、シリーズからも離れていたのですが調べてみるとこのシリーズ、科学にとどまらず法律、歴史、英語なんて派生本も存在するようです。確か法律と歴史は読んだことあるような気が。

 これらの派生本を知ったとき、ふと私はこう思いました。


 なんで空想心理学読本がないんだ?

 なんで空想心理学読本がないんだ?


 あまりの衝撃を表現するには二回書く必要がありました。

 だって、よく考えてみてくださいよ。今や空前の心理学ブーム(たぶん)。猫も杓子も心理学と銘打っておけば本を買うというような状況(誇張かつ失礼)で、調べてみると『ONE PIECE』がアドラー心理学やら深層心理学やら怪しげな解説に引っ張り出されている状態です。


 そんな状況でなぜ空想心理学読本がない?


 というわけでこの連載は、アニメや漫画、ゲームから映画、小説、歌に至るまで様々な創作物から興味深いシーンや設定をピックアップ、心理学的な解説を付していこうという企画です。

 もちろん、解説はできるだけ詳しく「心理学的に正しい」ものを目指します。この連載が胡散臭い心理学本の一つになっては目も当てられませんし、私がカクヨムで連載している『アラフォー刑事と犯罪学者』で「犯罪学的に正しいミステリー」を標榜している手前もありますので。これは宣伝だけど。


 そういう背景もあるので、本連載では元ネタになった作品の情報に加え、解説の参考にした文献の情報をそれぞれ末尾に詳しく記すことにします。より詳しく知りたい人はこんなちょっとした解説で満足せずにじゃんじゃん読んでください。


 またぶっちゃけた話、筆者は漫画とかあんまり頻繁に読まない人なのでネタの選び方にすごい偏りがあります。なのでコメントで「こういうシーンは解説できますか?」とリクエストを頂ければ連載の内容に加えるかもしれません。

 ただ、創作のシーンが常に解説可能というわけではないので必ず答えるという保証は出来かねます。

 ルフィはなぜ海賊王になりたいと思ったのですか? とか聞かれても困っちゃいますからね。


 では皆さん、グランドラインに勝るとも劣らない心理学の海原へ航海に出かけましょう。

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