私には手首を切った経験も、実際に自殺を計画したこともありません。しかし、自分のことが心底嫌いでどうしようもないことはしょっちゅあって、そしてそういう日は、死ぬことが恐いくらい魅力的に感じます。だから、自殺をしようと考えたことはない私ですが、自殺ということについて考えを巡らせた時間は、存外多いかもしれません。
私は今の2代目シエル様のように、暗闇の真っただ中にいるわけではないです。絶望について、私の知ってることを2代目シエル様が知っていることはあっても、2代目シエル様が知ってることで私の知らないことは多いのだろうとも思います。それでも、ささやかな経験を引き延ばして想像しようと思える、このエッセイや小説という機会をありがたく感じます。この度はこのエッセイを読めて本当に良かったです。
自殺を肯定する気は毛頭ありません。しかし、死にたいという気持ちを否定することも、私は絶対にしたくないのです。きっとこの狭間で今日ももがいている、2代目シエル様に、ささやかなエールを。
それでは、いいお酒をお飲みになってください。