第22話 不相応で最高のタッグ
「このゴミはどうしましょうか」
私は一頻りエヴァさんの頭で遊んだ後、髪を持ち上げて本気で考えてました。
正直、ここまで怒りが湧いてくるとは思いもよりませんでした。
「・・・うぅぅ」
まだ呻いていますね。まあ殺し方はもう知っているのですが。
「さて、エヴァさん。そろそろ貴女を殺しますが、何か言いたいことはありますか?」
空いた手を首元へと持っていき、帯電させます。こうすることで再生すると電気が回る仕組みです。
「・・・ううぅぅぅ。・・・貴女じゃ、あの人に勝てないわ」
「知ってますよ? 貴女の記憶を覗いたのですからね? あとは?」
「・・・いつまで喋らせるのよ。・・・この化け物」
・・・おっと、また口角が上がってました。まあ、いいでしょう
「どうぞどうぞ? 私をディスる事で幸せに死ねるならいくらでもディスって下さいね」
「・・・つくづく嫌な女ね」
むっ!
「
・・・なんかイラッと来たので仕込ませておいた魔力制探知機を爆散させてしまいました。頭部が盛大に爆散しました。
この
ううう。血がたくさんついてしまいました・・・。まあそんな事はどうでもいいです。魔法で除去・・・、しましたし。
「さて、下はどうなってますかね?」
レクトさんに渡した十字架から覗いてみましょう。あの十字架は
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・え?
私の視界にはレクトさん以外が倒れ伏した姿が見えてます。
これってつまりほぼ全滅ってことですか!?
「急いで行かなけれ・・・」
『俺はただ、エリスの純粋な笑顔が見たい! 復讐の裏側の笑顔じゃない、本当の笑顔が!』
・・・ファッ!?
「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」
何カッコイイこと言ってるんですか!? 惚れてしまいますよ!
『・・・ほう。だが君は弱者だ。どうする?』
『俺が進むべき道はお前を倒す事。それに俺が持ってる全力を出すだけだ。例え弱者であってもそれは変わらない!』
「・・・キューン」
・・・私も一人の女の子。こんな事言われてキュンとしない訳ないですよね!
「それにしても、復讐の裏側の笑顔ですか・・・」
確かに、最近の私は心の底から笑顔になっていたとは言えませんね。
「私の笑顔のために、ですか」
・・・なんか、嬉しいです。
「こんな私のために戦ってくれてるのなら、私もレクトさんのために戦いますか」
『なんだ? やっと気が付いたのか。お前自身の気持ちに』
・・・いい所でしたのに割り込まないで下さいよ。
『わりわり。でも、少し成長したようだな』
私はいつも成長してますよ。
『そういう事じゃねーけどよ。・・・とりあえず今は自分のしたい事をしろ』
おっと? 今日は中々素直ですね。では、力を貸して貰えますか?
『調子に乗るな! 俺は演算くらいならやってやるが、それ以外はやらねーよ!』
ええー。・・・まあいいですけど。
『まあ、好きな奴を守るんだから結局、お前は無理にでも使うんだろうけどな』
もちろんですよ。やっと気がつけましたから。
『そうかよ』
そう言ってリオは私の中へと戻って行きます。
・・・さて、そろそろ行きましょう。
私の復讐を達成するために。
そしてその後にレクトさんへ笑顔を見せるために。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「エリス!」
「全部聞かせて貰いましたよ。中々カッコイイこと言ってましたね」
ちょっ! 全部聞いてたのかよ!
「めっちゃ恥ずかしいんだけど・・・」
それを聞いたエリスはため息をつく。
「もう・・・。なんか台無しですよ?」
「すまん」
再びため息をつきながら、全員に治癒魔法をかける。
「皆さんはしばらく安静にしておいて下さい。ここからは・・・」
俺は治癒での回復で動けるため、エリスの横に移動する。
「私達で終わらせます!」
俺はベレッタMCをしまい、格闘戦の準備をする。
そんな俺達を拍手で迎えるのはアムネル。
「
「知ってます。だから私とレクトさんが居るんです」
返答になってねえよ。
「ほう。なら、
「そうさせて貰いますね
天井から魔法陣が出現、即座にそこから極太の雷がアムネルへと落ちてくる。
しかし、雷が当たってもゴン、という岩が硬質的な物にぶつかった様な音がするだけだ。
「おや、見ていたはずだろう? 私に魔法は通じないよ」
「っ、
同じ魔法を唱え、落雷の三連撃。そして間を置かずにもう一度三連撃の落雷をアムネルへと落とす。
しかし、先程と同じようにゴン、と音を立てるだけで無傷。
「だから無駄だと言っているのだけど?」
パチン! と、再びアムネルが数十の大剣を生成し、落とす。
「ん〜。魔法を撃ち合いたいなら私に金属系を生成するのは舐めプですよ」
エリスが降り注ぐ大剣に手をかざすと・・・。
「そいっ」
一瞬で大剣全てが左右の壁へと激突し、崩れ落ちる。
「私の二つ名を知っていますか? 私は『雷閃の魔女』この程度の金属くらいなら瞬時に磁石化出来ますよ」
・・・ああ。電磁石の原理か。俺が言うのもなんだが小学生みたいな理屈だな。だが、この一瞬で全ての大剣を無力化出来たのは大きい。
「・・・なるほど。では、
「・・・私、接近戦そこまで得意ではないのでレクトさん。お願いしますね」
「おいおい・・・」
てっきりエリスも殴りに行くのかと思ってたんだが、どうやら俺だけで戦うらしい。
「大丈夫ですよ。私がアシストしますから」
「ならよし!」
全然良くないけどね。
と、思いながらもアムネルへと接近戦を挑む。
「ほぼ丸腰で私に勝てるとでも?」
「いや? 丸腰じゃないぞ」
俺は弾丸を顔面へと撃ち込む。
「っ!」
が、それは聖剣でブロックされ、すかさず蹴りが飛んでくる。
「っと」
腕で難なくガード。しかし、視界には聖剣での攻撃のモーションが見えた。
このままでは普通に食らってしまう。だが・・・
「身体能力強化、
エリスのアシスト魔法で身体能力が強化され、ギリギリ躱す。そしてエリスは効かないと分かっていても目眩しで追撃防止で魔法を放つ。シャンデリアの如く輝く雷槍が高速回転しながらアムネルへと襲いかかる。
「・・・ふう。今のは中々だね。でも私には届かないよ?」
「ええ。
エリスの掛け声で
「レクトさん!」
「了解!」
ここからは純粋な肉弾戦。アムネルが取られた聖剣に気を向けた一瞬を無駄にはしない。
「はあああ!」
ゴスッ!
俺の全力右フックが綺麗に決まる。自慢では無いが、ここまで綺麗に決まったのだから流石に気を失っていても・・・
「甘いぞ!」
アムネルは倒れながら俺の顔面へ蹴りを入れようとした。
しかしそこへエリスの
アムネルの意識はまだ奪えていない。つまり。
「もう一発お願いします!」
「分かってる!」
既にフラフラなアムネルへと詰め寄る。
「
「遅せぇよ!」
俺は拳を握りしめて再び右フックを放とうとした。だが、改めてアムネルへとダメージを与える条件を思い出した。
魔法以外で、武器は金属の中にで魔力が含まれていないもの。
そこで俺は気がついた。
「丁度いいものがあるじゃないか」
俺は腰に手を当て、ホルスターからベレッタMCでは無く、ベレッタM92を取り出した。
「ああああああ!!!!!」
アムネルは顔を青くし、絶叫していた。多分直感で感じただろう。この武器には魔力の魔の字も無いことを。そしてそれを防ぐ力は残っていないと言うことも気がついていたのだろう。
俺はアムネルの額へと銃口を付け・・・
ドバン!
その瞬間だけ静まったこの空間にベレッタの銃声が大きく響いた。
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