第5話 基礎知識を詰め込もう!
冒険者組合を出た俺はエリスに連れられて人気のない薄暗い道を歩いていた。
「はぁ・・・。魔法使いたかったな」
「こればかりはご愁傷さまとしか言えませんね・・・・・・」
エリスは苦笑を浮かべている
ま、まあ魔力が流れたおかげで身体能力が4倍になったんだし・・・・・・。 ん? じゃあ俺の魔力量で4倍だからそれ以上の人はもっと動けるのか?
「そんなことはないですよ。既存の筋肉量の4倍までしか身体能力は上がらないという計算結果が出てます」
ふーん・・・・・・。 あれ? 俺何もしゃべってないよね?
「はい。読心魔法を使いました」
おお、そんな魔法があるのか! でもあまり使うとき無いんじゃない?
「いえいえ。思考が読めると戦闘が有利になりますよ。相手の次の一手が分ったり、味方との会話を相手に聞かれなくなるので、あって損はないです」
「なるほどなぁ。・・・・・・で、今から何処に行くんだ?」
薄暗くて人気のない道・・・・・・。その単語は少し卑猥だな。
俺はエリスの体部分を見てみる。
・・・・・・エリスは意外と胸があるのに体が細く、見た感じ太ももとか柔らかそうだから余計にそっち方面の事を考えてしまう・・・・・・。
「レクトさん?まだ読心魔法使ってますよ?」
エリスはジト目で俺を見つめている。
この世界にプライバシーはないのだろうか?
「あって無いようなものですよ。男性だから仕方ないのかも知れませんが、不用意にそういった事を考えるのはおすすめしません。・・・・・・今から行くのはエルフィム魔法図書館ですよ。魔法書や歴史書の他にも、料理本や雑誌など様々あります」
ん~、俺はあまり関係無さそうだな。エリスの用事か。
「いえ、図書館に行くのはレクトさんのためです。これから戦う機会があると思うのでこの世界の武器や魔物、魔法などについて勉強して頂きたいとおもいまして」
「よく俺が戦闘系の人間だってわかったな」
「だって、この腰に付いている物って武器ですよね? 護身用かも知れませんが。でもレクトさんだって戦いたいとか思ってません?」
まあ、早くこの体に慣れたいとはおもってるけど。
そんなことを話しながら図書館のエルフィム魔法図書館と書かれた建物の前にやって来た。白を基調とした舘だが、扉の前には2人の兵士が立っている。そして近くには看板がある。
「関係者以外に立ち入り禁止って書いてあるけど大丈夫?」
「問題無いですよ。少し待ってて下さいね。話してきます」
言われた通り3分ほど待っているとエリスから手招きがあったため図書館に向かった。横にいた警備をしている兵士の顔を見てみると何故か真っ青だったが気にしないことにした。
中は俺の知る図書館と変わりはないが、本が浮いていたり、木でできた人型生物がいたりした。エリス曰くその人型生物はウッドゴーレムらしい。
俺達は魔法書を手に取り勉強を始めた。
まず、魔法とはこの世界では当たり前に使えるものらしい。空気中に含まれる魔力を体内に取り込み、体内の魔力で魔法を使用する。この行為は体に空気を吸い込み、吐き出すという事と同位語らしい。
魔法には2つ種類があり、体外で大規模な現象を起こす汎用魔法と体内で小規模な現象を起こす基礎魔法がある。
基礎魔法は自分の身体能力を強化したり、五感を鋭くするなどといった魔法だ。基礎魔法は誰でも使える魔法らしく、実際俺も視力強化を使ってみたが問題なく発動した。
そして汎用魔法は火、水、風、雷、闇、光の六属性の属性魔法、召喚、転移、回復といった属性の無い魔法を特殊魔法と呼ぶらしい。エリス曰くこちらの方が重要らしく、汎用魔法は攻撃系の魔法が多いため、戦闘時に使うのはほとんど汎用魔法らしい。ちなみに魔法適性は汎用魔法六属性のものである。
戦闘時には汎用魔法が主に使われるが、基礎魔法を使う人でも強い人いるという。魔法師序列5位のベルは身体能力強化を使い、剣と接触型の属性魔法で戦うというスタイルらしい。
多分俺もそのスタイルになるだろう。
魔法にはそれぞれにランクがあり、第一位魔法から上に第七位魔法まであるらしい。第一位がほとんどの生物が使用出来るものに対して第七位は、魔法への適性が無い生物には使用出来ないとされている。基本的に位が上がると威力は上がると考えて良いらしい。
次に土地だ。この国はバルネスト大陸の最も東に位置しており、技術的にもそこそこ栄えているという。そして、この国から見て西側にはフランデル帝国、北側には獣人の国であるタリナザス王国、南側にはガルデン都市国家連合があるという。
魔物に関してはゴブリンや、オーガといった下位種や中位種、ドラゴンや、リッチ等の上位種、悪魔や神霊等の超級種について聞かされた。
言葉で強さを表すと、
下位種
・一般人10人が武器を持って戦うと倒せる強さ。
・一般冒険者は一人でも簡単に倒せる。
中位種
・一般冒険者5、6人で倒せる強さ。
・一流冒険者は難なく倒せる。
上位種
・一流の冒険者50人でやっと倒せる強さ。
・だいたいが魔法師序列3位前後くらいの強さ。
・倒すと結構な騒ぎになり、滞在中の町から褒賞金がでる。
超級種
・死なずに逃げきれたら超幸運。
・出くわしたら国家の危機。
・意思を持つ災害。
と、されている。超級種は第七位魔法を軽々と使用し三十年前、この国に現れたアムネルと言う悪魔の進行により壊滅的な被害を受けたとされている。現在も悪魔アムネルは討伐されていないらしい。
武器に関して言えば剣や斧言ったものがほとんどでランチャーや銃といったものはないらしい。ただ、魔法の力が付与された道具があるという。
一応、銃を持つ俺にアドバンテージはあるが、まだ魔法は未知数なので慎重に動きたいところだ。
「こんなところですかね。魔法や魔物は実際に戦わないと分からない部分が多いので、後々確認しましょう。魔法の数ですが、今あるので17000ほどだと言われています。ただ、戦闘でよく使われる物は400ほどなのでその辺りを覚えておくといいかも知れません」
400・・・・・・。 結構多くないか?
「まあざっとこんなところですか。そろそろ3時になりますので帰りましょう。あまり遅いと暗くなって野盗に出くわすかもしれないので」
「ああ。分かった。今本を片付・・・・・・」
ける必要はないようだ。恐らく飛行魔法だろう。元々あった場所に本が勝手に飛んでいく。
そんな光景を見ながら俺達は図書館を出て馬車に向かった。
それから数分後。まだ薄暗い道を歩いていた時だった。
嗅ぎ覚えのある臭いが近くの路地から漂ってくる。生々しく、鉄っぽい臭い・・・・・・。なんだっけ?
俺がそんなことを考えていると、エリスが先に答えを口にした。
「血の臭いしません?」
っ!?
「そうだ! 血だ! どうするエリス?」
「厄介事って感じですね。止めにいきますか?」
エリスは終止笑顔だ。何も変わらないこの笑顔は町中で見せる笑顔の様な優しさが溢れているものとは違い、狂喜が漏れ出ているような笑顔で逆に怖い。
「行くぞ」
俺達は血の臭いが漂う路地に入っていった。
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