この素晴らしいバレンタインに革命を!
これは、アクセルの街で革命を起こそうとした男たちの物語である……??
「ってなに言ってんのよ? 馬鹿なの? ちょっとアクセルでバレンタインが定着しだしたのにいまいち貰えてないからって醜いわよ? それとも私がカズマさんに特別にあげてもいいのよ?」
「お前にチョコ貰うってなにか負けたような気がしてならないんだが…」
「何言ってんのよ! 女の子にチョコを貰えるのよ? 十分なイベントじゃないの!まあ、そのためにちょっとこの紙に名前を…」
「やっぱり勧誘じゃねーかよっ!! 悪徳宗教でもここまでたちの悪いことしねーぞ!」
勧誘に失敗したアクアは無理やり、名前を書かせようとしてきたがそれを振り切り街へと向かう。いつものようにギルドへ向かっていると少し街はずれの路地裏に見慣れた仲間がひそひそと会話をしていた。どう見ても怪しい。関わると絶対にめんどくさいと俺の感が言っているので見て見ぬふりをしようとしたら…
「おっ! カズマじゃねーか! 何してんだよ!!」
逃げ切れず、ダストに見つかってしまった。
「なんなんだよ、犯罪じみたことに俺は手を出さないからな?」
「俺のことをなんだと思ってるんだよ。ってかカズマはチョコ貰ったか?」
「さっき…いや、貰ってない」
「やっぱりか…いやな、さっきからおれが何人かに聞いたらみんなまだ貰えていないっていうんだよ。本来貰える行事でそれはおかしい! ということで暴れることにした」
「そかっ…! 頑張れよ…って何て言った?」
「ちょっと暴動を起こすって…」
「いやいやいやいやチョコに命かけすぎじゃないか? これはな? 貰えるものと貰えないものという人間社会の格差を露見し、自分の立ち位置を再認識するイベントなんだぞ? だから黙って…」
「でも待ってほしい。俺のパーティーにはリーンが、お前の所には三人も威勢がいるわけだ。しかし、誰一人その素振りを見せてないのはおかしいと思わねーか?」
「たしかに…」
そうだ、たしかに頭のおかしい三人ではあるが俺が世話してやっているも同然なんだから義理の一つや二つあってもおかしくないわけだ。確かに、さっきは駄女神に渡されそうにはなったがあれはノーカウントだ。うん! もらえないのはおかしい!
「だろ? だから貰えている奴から奪い取って俺たちで平等に分けると…どうだ?」
「まて、しかし貰えている奴に心当たりはあるのか? そこがないと元も子もないのでは…」
「カズマ、お前はわかっていないな。この街にモテモテの野郎がいるだろ?」
「……っ!! カツラギか!」
「そう、ヤツラギから奪い取ればいいってもんよ」
「しかし俺たちには狡賢さがあってもレベル差が…」
「この名付けてバレンタイン革命に二人で挑むわけがないだろ? 事前にサキュバスのお店に通っている同志には声を掛けてある。後は実行するだけだ」
「お主も悪よのぉ…」
「ミツルギさんっ!! いつも私たちの事まもってくれてありがとう! 二人で作ったの。ぜひ…」
「本当かい? おいしく…」
「ごらああああ、キツラギやろおおぉぉ!!!」
ダストが声を掛けていた冒険者が一斉にミツルギへと襲い掛かりしっかりと押さえつける。
「カズマ! やっちまええ!!」
「「「スティール! スティール!」」」
大勢のコールが響き渡る。
「スティー―――――――ル!!!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
どこにしまっていたのか分からない量のチョコが出てくる。それを皆でかき集めていく。
「カズマ? そこで何を必死に拾っているのですか? お金を落としてしまったのなら一緒に探しますよ?」
そこに通りかかったのはなんとめぐみんだ。しまったと思ったがどうせもらえるわけがないと思い適当に流し拾っていく。
何を拾っているのかを気付いてしまっためぐみんはドン引きをした。
「カズマ…さすがにそれは引いてしまいますよ。そんなにチョコが欲しいのなら私が何個でもあげるのです。だからそういう…ことはやめてください」
「な、なんだとっ」
カズマは拾うのをやめ、めぐみんと行こうとしたがそれに気づいたダストは
「おいっ! 同志から裏切りが出たぞ! あいつのも奪えっ!」と近くにいた人に指示を出す。しかし、今度は
「ダストっ! また変なことやってるの? そんなものあげるんだからっ!」!
と突如現れたリーンに連れていかれていく。周りにいた冒険者たちも陰から見ていたサキュバスのお姉さんたちがチョコをもって手を振っているのを見つけ去って行く。
「あれ、だれもいなくなったのかよ」
「もう、なんてことをしているのですか」
「いやな? 俺たちはチョコをみんなで分けようと…」
「何をいまさらごまかそうとしているのですか。欲しかったのでしょう? この黒くて甘い溶けてしまうものを」
「まあ、そ、そうともいうな」
「カズマはそんなに焦らなくていいのですよ? だってカズマは私のなのですからっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます