このバイト女神に祝福を!(露店編)

 いつもの事ながら借金をしてしまいカズマに激怒されてしまった駄女神アクア。ギルドでも当分手伝わないでほしいと言われ、しょぼくれていたところに露店のおじさんが声を掛けてきた。


「おい、そこのしょぼくれた借金持ちさんや! うちでバイトしていかないか?」


 だれよ、私のことを借金持ちなんてひどい言い方をする人は。そんな人には私が直々に…


「ほんとですか?! ぜひお願いします!」


 このバイトなら怒られるようなことはないだろうし、適当にやってもよさそうね


「じゃあ今から働いてもらうんだがうちは完全出来高制でいかしてもらうからな! 頑張ってくれよ」

「私を誰だと思っているの? この私にかかればこのコロッケはすぐに売り切れるわ! 見てなさい」

「はっはっは。そうか、なら売れ残ったら全額買い取りで頼むな! じゃあ俺は用事があるから頼む!」


 露店のおじさんは私の目を見ないようになるべく遠くを向いてそう言い去った。

 なんで私のことを不安げな風に見て行ったのかは分からないけど私にかかれば一瞬で売切れさせられるわ! まずはこれがどんな味なのか確かめないといけないわね。一つぐらいね? いいわよねっ


 何よこれ! キャベツコロッケって書いてあるのにレタスじゃないの! 詐欺だわ。私がこんな悪事に手を染めなくてはいけないのが悔しいわ。でも、悪いのはおじさんだからね! わ、私は悪くないからね!


 -数時間後ー


「いらさい、いらさい! おいしいキャベ…レタスコロッケよ! せっかく安いんだから買いなさいよ!」

「キャベツなのかレタスなのかどっちなのよ。ってかレタスならその値段は詐欺じゃないの! ここでは買わないわ!」

「そんなこと言わないでよ! 私のお給料がなくなっちゃうの! 買って。一個でもいいから!」

「お嬢ちゃん、そんなに泣かないでよ。もう…一個だけよ」

「まいどありぃ!」


 アクアはこの調子でどんどん売り上げていったのだった。日が暮れるころにはすべて売り切りちょうどおじさんがこちらへと戻ってくる。

 

「おお。全部売り切ったのか。どうすればそんなことできるんだ。これからはずっとうちで働いてくれないか」

「冗談じゃないわよ! これ中身レタスじゃないの! 私、汚された。こんな偽物売らされるなんてもうお給料が増えないと生きていけないわっ」

「まさか売り切るとは思ってなかったからな。しょうがね、今日は二倍の1500エリスにしてやんよ!!」

「やったわね! これでちょっとは楽になるわ!!」


 給料も多く貰い、今日は何を飲もうかとルンルンで帰ろうとしたところ…


「ここです! 詐欺コロッケ屋さんは!!」

「あなたたちが噂の詐欺キャベツコロッケ屋ね! 署まで同行してもらおうか!」

「なんでよおおおおおおおおおお」



 結局、不正に得たお金ということで没収と釈放金で5000エリスも取られてしまったのだった。


借金残り15000エリス


 増えてる?!

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