くだらないアンケート
パクスヤナ
一話完結 恋人はいますか
クラスは1つだけ。人数は10人。男子5人、女子5人。来年廃校みたいな話が持ち上がった時、僕はそんな学校にやって来た廃校を救う転校生だった。11人だ!これで6年生までみんないっしょだ!とか言って喜んでるみんなを横目に小さな声で自己紹介したのを覚えてる。
保健体育の授業だったかな。先生がどうしてもみんなに答えてほしいアンケートがあると言って配ったプリントがあった。いつも見る丸い文字じゃなくて、カクカクしてる大人が使うような文字に「回答せよ」って怒られてるみたいだった。第一問…
あなたに恋人はいますか?
はい。
丸をつけた。ケンジくんは真央ちゃんと付き合ってるし、剛はリンカちゃんと付き合ってる。親も仲良しだしさ。すぐ5人が5人と付き合ってるって気が付いたよ。だれも僕に明かさなかったけど。
残る僕は1人。 いいえに丸を付けても、はいに付けてもバレる。なんて残酷なんだ。どうせなら「はい」にしておいて後から冷やかされるか、笑ってみんなが打ち明けるタイミングになればいいなと思ってた。
結果が届いた。
夕陽が西から差したホームルームの時間だった。先生が親に渡していろいろ話し合えよとか言って教室を出ていった。
第一問結果
恋人がいる→1人
恋人がいない→10人
ふざけんなお前ら!気ぃ使ってるから余計に目立つだろー!!とか笑いながら涙を流して、いままで感じたことのない喜びと、怒りと、悲しみが少しと、めちゃくちゃになった心でみんなを見るとそれぞれ違う顔をしながら「ごめん」だったり「知ってたの!?」だったりいろんな言葉が返ってきた。
付き合うなんて、まだわかりもしない歳だったけどさ。いつも通り11人で帰ってから近くの公園に集合して日がしっかり暮れるまで遊んだ。
くだらないアンケート パクスヤナ @pax-yana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます