第8話 拠点と集団転移者収容の準備

神様たちが用意してくれた世界で約10日を過ごした。


異世界パスロでは6分しか経過していない。


私が悪魔の反撃を食らってのが地球時間で昼の12時50分。


集団転移が起きたのもその時間だ。


パスロの時間では13時30分だったらしい。


私が病院に運ばれ、神様のところに呼ばれたのが13時40分。


パスロの時間で翌日の14時30分ごろだ。



今、私はパスロ大森林の中央付近にある広い草原の中心に立っている。


時刻は14時40分。


神様からの地図で示された場所だ。


草原は東西18km・南北16kmもある。


西側の森との境には幅200mぐらいの川が流れている。


東には3段の河岸段丘がある。


高さは合わせて60mぐらいか。



街は外壁と内壁で守られた形で建設する。



河岸段丘から東1kmに緩やかに登ったところにまずは南北の長さ10kmの外壁を造る。


これが西外壁になる。


この西外壁の北端から森までは約2kmある。


一方、南端から森までは4kmである。



作業のために連れて来た200体の土木用ゴーレムが作業を始めた。


このゴーレムたちは土魔法の魔道具を使い、高さ10m幅2mの石の外壁を造っていく。


地面から土を集めて壁にして、仕込みをしてから硬化する。


この仕込みとは外壁を強化するものだ。


外壁の中には特殊な合金の網が埋め込まれており魔法攻撃や物理攻撃に対する耐性が上げられている。


門も3か所に造られ、厚い扉が設置された。


扉は左右に動くスライド式のものと非常時に上から降りてくるものが設置されている。


共に特殊合金製で厚さは30cmだ。


壁の上には見張り台や通路(歩廊)がある。


城壁上部の歩廊に狭間付き胸壁があり、射眼が設けられている。


西側に流れる川に繋がる水路には魔物除けの柵と結界と防衛用に開閉式の水門が設けられている。


水門の扉も特殊合金製で厚さは30cmもあり、上下スライド式が2枚設置されている。


もしも攻められても大丈夫なようにこれからさらに整備していくことになるのだが・・。


外壁の外は土を使ったため20cmぐらい低くなった。


西外壁の南の端と北の端から東に向けて外壁を伸ばしていき、北外壁と南外壁を造っていく。


今度の外壁の長さは12kmになる。


高さと幅は西外壁と変わらない。


門や通路・胸壁・見張り台も同様だ。


南北の外壁の東端を外壁で繋げて東外壁を造り、周囲44kmの外壁が完成した。


この外壁の基礎の深さは約15mある。


魔法を使っているとはいえ約2時間というのはすごい。


草原にいた魔物はできる限り追い出したが残った魔物はゴーレムが駆除している。


続いて内壁を造る。


材料は外壁の建設中に北側にある山から別動隊が石材を切り出してきている。


西側の外壁から2kmのところに南北6kmの内壁を造った。


同様に南北とも外壁から内壁まで2kmの間隔を空けている。


東側は4kmだ。


内壁の高さは25m幅は5m基礎は30mだ。


内壁には東西南北に1つずつの門を設けた。


扉も外壁同様頑丈なものを設置した。


内壁を造るのにも約2時間がかかった。



今、ゴーレムたちが内壁内の魔物や獣を一掃するために走り回っている。


生えている植物も時間経過のない収納庫に根こそぎ回収している。


後で使える素材は使いたい。


19時15分。


日没直後にやっと街の設置する準備の作業が終わった。


内壁上の通路から内壁内に照明が向けられる。


内壁内の中心と内壁上の数か所に神様のところから街を転移させる魔道具を設置した。


この魔道具は街が転移してきた後は内壁内を守る結界を造る魔道具としても働くことになっている。


19時30分。


街が内壁内に出現した。


街と内壁の間には500mの緩衝地帯がある。


ここは緑地公園や貸農園などにする予定だ。


街と一緒に転移してきたゴーレムたちが最終の調整の工事を始めた。


街の地下にはゴーレムとオートマタの基地があり倉庫と工場もある。


ここに各種ゴーレムとオートマタが収納されている。


外壁の上には外壁防御用のゴーレム200体と外壁防御用オートマタ100体が配備されている。


内壁と外壁の間では作業ゴーレムと外壁内警備ゴーレムが細かい作業のために活動している。


内壁の上には200体の内壁防御用オートマタが配備されている。


これから街の公共機関・商店・レストラン・駅・警備等全て今はオートマタによって運営される。


オートマタはそれぞれ違う顔をしている。


仕事も人間と同じように決められた時間で働く。


人間と区別できないのでブラックな職場は駄目だ。


勤務が終わると帰宅していく。


それぞれの職場の地下にあるメンテナンス用の自室へと。


オートマタとわかっていても人間と区別できないものが休みなく働いているのはこれからの住民にとっては精神衛生上よくないだろうという配慮だ。


オートマタは食事をしなくても大丈夫だ。


しかしこれから住民が勤めた時には職場の同僚として振る舞うために食事も違和感なくできるようになっている。


メンテナンス時にエネルギーを注入するのでなく食事を分解してエネルギーにすることも可能だ。


街のオートマタは予備も入れて4000体ある。


もちろん増産可能だ。



こうして拠点は不完全ながらも完成した。


私は中央の管理棟に入った。


私の住居もここにある。


ここでも配下のオートマタが状況をモニターしている。


今は明日の住民受け入れの準備なのだが。


パスロの国際連邦にはこの地に異世界人を収容する街を造る旨を神殿を通して伝えてもらっている。


街と言ってもここに至る道もない。


一番近い街道は森の中を北東に550km進んだところにある。


川を遡上して来れたならば800kmで到達できるだろう。


予定では北東に500km行ったところにこの世界の住民と交易をするための街も作りたいと思っている。


街道と街までは街道がある国と共同で道を造る構想を持っている。



秘書のオートマタから進捗状況の報告を受けた後に遅めの夕食をすませ、自室に入り横になった。


さあ、明日は出迎えだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る