昼の中
今夜はひと月ぶりの姫の道中だ。
とはいえダリアは客を取らない。
街に出るだけで人々は満足するのだ。
高貴な立ち居振る舞いを見て
蝶達も憧れを抱き
街の者共も決して届かぬその存在に夢を見る。
ひとしきり街を楽しんだ後は
また一ヶ月は閉篭もる生活がくる。
わかっているからこそ
今を楽しむことが出来る。
「リアマ、今夜は一緒に行こう」
そうダリアは声をかけると
そのつもりだと言わんばかりに鼻を鳴らす。
その返事を見たダリアはリアマの方を向き静かに両手を広げる
その瞬間眩い光がリアマを包み
キラキラと光が弾ける。
まるで炎のような輝きを放ち、リアマを燃やしているように見える。
パチパチと弾ける音が少しずつ落ち着き
リアマを包む光も薄くなる
リアマは人型をし、二足歩行となった。
艶やかな黒の毛並みは美しい長い黒髪に
綺麗な青の瞳が美しく輝く肌の色も黒く、
時折見える牙が狼を彷彿させる。
「この姿は久しぶりだな…。ダリアの魔力が無いと自分じゃなれないからなぁ」
肩を回しながら久しぶりの感覚を思い出すように体を動かす。
「リアマは双星の分、魔力は取られたからのぅ。わらわ獣妖達は一長一短の生き物だからな」
リアマは魔力がほとんどない代わりに獣人よりも速く動くことが出来る肉体と獲物を狩る力を持っている。
リアマは生まれた頃からずっとダリアの側でダリアを守っている。
リアマは双星という、所謂双子なのだが
獣族にとって双星は1つを半分にしてる分、弱い存在のように扱われてしまうのだ。
もちろん、今のリアマを馬鹿にするものなど誰もいないのだが。
「リアマ、そのまま私の星達を呼んできて。」
そういうと、ダリアは襖の奥に消えていく。
この国では一番美しく権力のあるものを花、
その花に使える花の二番手を星、
沢山いるほかのものを蝶と呼ぶ。
蝶の長は花なのだ。
男手の少ないこの国で花を守るシュバリエこそが星なのだ。
ダリアはぼうっと今夜のことを考える。
ブルースターが来ればこの街は戦になる。
何万年とこの国を治めているが水の国に挑むには[相性]が悪過ぎる。
しかしダリアが引けばこの国は呑まれてしまう。
落としどころがない未来に苛立ちを覚える。
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