貧血勇者~最強転生したは良いが血を見ると貧血で戦えない俺は即死魔法で大逆転を狙う~

まんじ

第1話 パーティーから追い出されました

「たかし、すまないがこれ以上君をこのパーティーに置いておく事は出来ない」


アレンが心苦しそうに、パーティーの最終決定を俺に伝えてきた。

アレンは良い奴だ。

きっと今回の決定だって、最後まで俺の為に他のメンバーを説得をしていてくれたに違いない。


彼はいつも俺に気を使ってくれていた。

俺だけじゃない、目に映るものすべてに手を差し伸べる優しい良い奴だ。

そしてそんな良い奴だからこそ、貧乏くじを引かされる。

俺に引導を渡す役も、その優しさに付け込まれて押し付けられたのだろう。

いや、それすらも優しい彼が率先して手を上げたのかもしれない。


一月前、行き場のない俺をパーティーに誘ってくれたのは彼だった。


俺がいれば、強力な魔物と遭遇した際に対処しやすい。

そう仲間達を説得し、俺を迎え入れてくれたのだ。

こんな辺境にそんな強力な魔物なんていやしないってのにな。


俺は初めて彼と会った日の事を思い出し、ふふっと思わず笑ってしまう。


「たかし?」

「いや、なんでもない。今まで有り難う、アレン。短い間だったけど、このパーティーに居られて良かったよ」


感謝の言葉を述べ、俺は左手を差し出す。

パーティーを追放される身ではあるが、彼らを恨む気持ちは微塵もない。

何故なら、俺が逆の立場だったならまったく同じ事をしていたはずだから。


「すまない……」


アレンが再度俺に謝罪しながら、俺の左手を両手で強く握る。

彼の瞳にはうっすら涙が浮かび、その両手からは彼の震えが伝わってきた。

本当に良い奴だ。


「それじゃあ、皆によろしく言っておいてくれ」


「わかった……」


俺はアレンに背を向け、軽く手を振りその場を離れる。


6度目のパーティー追放。


もう誰も俺をパーティーには誘ってくれないんだろうな。

そんな事を考えながら、俺はとぼとぼと重い足取りで帰路に就く

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