虫の鳴き声がする心因性幻聴
その時、その場所で、虫は、いるはずがない。なのに、する、その音。誰かに鳴らされているのではとも思える、その、意味ありげな、音。昔はこんなことなかった、ほかの人に訊いてもガイキチ扱いだ、病院に行け、と、病院に行ったことない人に、言われてしまうんだ、その病院とは、もちろん精神病院のことだが。
エンノという女。彼女は痩せている。ぼろぼろである、心も体も病んでいる。彼女は幻聴が聞こえる、が、たまに、幻聴ではないものを彼女に聞こえるように、ある男はながしていた……ラスプーチンだ、だが、その、ラスプーチンからのメッセージも、彼女の妄想が生んだものである。
ラスプーチンは、ロシヤに来れば、救われる、などと、ロシヤから、日本のド田舎に音声を送っていた、だがそれはエンノの妄想だ。
エンノはロシヤにいて、何をすればいいかわからない、お金もない、ホームレスだ。エンノは、街を歩いた、テキトーに。
「キミ日本人だろ、オーラでわかるんだ。中国人でもない、韓国人でもない……と」とラスプーチンに異世界入することを命じられた、俺は言う。
「はい……」とエンノは言う。
「やっぱりそうだ。ホームレスだろ、似合わないぞ。キミが体売る気なくても、変なことされたらどうなるんだ、いろいろいるんだぞ、どこの国もだ。俺についてこいよ。俺は、金持ちだ、バックに日本分離大学と、ラスプーチンが、いる」と俺は言う。
「ラスプーチン大統領?!」とエンノは言う。
「そうだ。あの、ラスプーチンだ」と俺は言う。
「確かに、貴方は浮世離れしてる。只者だとは、思えない」とエンノは言う。
「そうか、ただかっこいい外見だからってだけかもだろそれ。でもキミのそういう言葉は本来金持ちに使うのはナンセンスってものだろう、だが、現代の仏教的にはそっちのがありかもな、住職は欧米の高級車ばっか乗ってなァ?」と俺は言う。
「そうですね」とエンノは言う。
「住職でもロン毛のいるだろ、あれはどう思うんだ」と俺は言う。
「貴方のような方でなら、それでもいいですけど、住職は、ちょっと……嫌ですね」とエンノは言う。
「だよなっ」と俺は言う。
「その隈、幻聴でも聞こえるんじゃないか。虫とか」と俺は言う。
「はい」とエンノは言う。
「俺もだ」と俺は言う。
「セレブなのにどうして」とエンノは言う。
「俺は元々は平民なんだ、そしていじめられっ子だ」と俺は言う。
「貴方にいじめ……?、変な世界」とエンノは言う。
「嫉妬されたんだ、シットなやつらに」と俺は言う。
「私も、いじめ受けてぼろぼろです」とエンノは言う。
「そうか、でも綺麗だ、ぼろぼろになっても綺麗だ、イイ女だ、芸能界でも見れない美貌だ」と俺は言う。
「そう言ってくれたのは、貴方ではじめてです」とエンノは言う。
「だろ、俺は先鋭だからな。今からチベット行くが、来るか?」と俺は言う。
「チベットって。行くこと考えたことないんですが」とエンノは言う。
「でもそこで苦しい修行だとかしないよ」と俺は言う。
「でもここで、貴方についていかないのも、何もはじまらず、堕落に向かいそうだから、行く」とエンノは言う。
俺とエンノはラスプーチンから貰った、ジェットの中に入った。チベットに向かう。
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