どういうことなの!?
うきうきして登校した中学校生活初日。
いるはずのない人間がいた時の衝撃は、どう言い表せば良いんだろう。
教室に入ったら、いるはずのない人間がいた。
な ぜ お ま え が い る !
いやだってね、あいつは梓ちゃんと仲良く公立中学校に進学したはずで。母子家庭で私立の授業料を支払うのは苦しいはずなんだ。
おかしいでしょ。どういうことなの!?
「
思わず名前を呼んだら、振り返ったあいつが見せたさわやかな笑顔に胸きゅんだ。辛い。
それでもって、私を見るなりびくっとなって顔を強張らせたんだ。それで、私も正気を取り戻した。
「真央」
「……梓ちゃんは?」
二人はセットなはずだ。
大和撫子な美少女梓ちゃんと並ぶとブスな私は碌なことにならないってのは、これまでの人生で身に染みてわかっている。
せっかく勉強して私立に進学したのに、こいつがいたんじゃ意味がない。この上さらに梓ちゃんまでいるとなれば、私の二度目はお先真っ暗だ。暗黒時代の再来だ。
皆で仲良くすれば良いじゃないかって? 私の性格が悪い?
残念ながら、世の中はそんなに上手くはできていないんだよ。
世の中ってのはね、どこまでも美少女に優しくできていて、そんでもってブスには厳しいんだ。
美少女が白って言えばそれはプラチナ級の価値を持った白になるけど、ブスが白って言うと無視されて、無視されたはずなのに貶されて曲解されてどこまでも語り継がれるゴミ扱いと化す運命だ。マジ酷い。
「真央、まだ梓のこと、」
「ないから! 私は二人には関係ないから! ブスな私は君に近付かないし、お願いだから君も私に関わらないでね。はい、これで解決っ」
ざわって、空気が揺れた。
それでやっと私は、ここが教室だったことを思い出したんだ。
やっちまったい。
そう思っても、もう遅い。時間は巻き戻せないし、私が言ったことも取り消せない。
この時点で私は、二度目もまた友達ができないのかもなあ、悲しいなあって思ってへこんでた。
でも実際にはそんなことはなくて、席に着いた私をクラスの女の子たちがわらわら~と取り囲んで私は質問攻めに合って、色々ぼかして説明するうちにその内の二人とは親友って呼べるくらいの友達になったんだ。
友達がいると学校って楽しいものなんだってことを、二人の親友のおかげで初めて知ることができたんだ。
そんな調子だったものだから、浮かれた私はもう恋愛なんか良いやって感じではじけた。
親友……悪友? たちに釣られていじめを撲滅しているうちに「
バレンタインには、女の子から大量のチョコレートをもらう身分になったよ。
一度目とは違う意味で恋愛が遠退いたけど、これはこれで良いよね。
で、あいつと梓ちゃんはどうしたんだって?
国交断絶。親の再婚で私立にきたらしいあいつとはひと言も話さないままクラス替えになったし、梓ちゃんは公立に進学したらしいよ。まだ付き合ってるかまでは知らん。
てか、家庭事情が筒抜けなおかんネットワークが怖い。
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