うたをうたおう

勝利だギューちゃん

第1話 同窓会

高校3年生の時の同窓会が行われた。

30年ぶりの再会となった。


行き先不明のクラスメイトもいる。

でも、連絡の取れる人だけでもと、集まる事になった。

それでも、過半数はいたように思う。


俺はクラスで浮いていたので、友達はいない。

なので、参加するつもりはなかった。


ちなみに担任だった体育教師は体罰問題で辞職している。

なので、当然来ない。


俺が参加したのは、認知におちいった母の介護から、

少しでも離れたかったからだ。


会場につくと、会費を幹事に渡す。

案の定、事務的だ。

まあ、下手に愛想をもたれても困るが・・・


俺は下戸なので、酒は飲めない。

そして、隅っこでウーロン茶を飲んでいた。


ここから見ると、完全に派閥が出来ている。

男は男同士、女は女同士、固まっている。

その中でも、派閥がある。

出世組と、そうでないもの・・・


当時は、それぞれの夢があったようだが、その職についているものは、いない。

芸能人を目指していた女子もいたが、今は専業主婦をしているようだ。

あくまで、耳にはいってきた言葉からの判断だが・・・


それでも、結構楽しくやっているようだ。


「S、久しぶりだな」

1人の男子が声をかけてきた。

「ああ」

俺は、あいまいな返事をする。

仮にAとしておこう。

名前は伏せる。

ちなみに俺の名前も、Sにしておく。


Aは、クラスではかなり目立っていて、それなりにもてていた。

友達も多く、毎日が楽しそうだった。

俺とは違う。


「S,暗いな。相変わらず」

「悪かったな」

「そんなんじゃ、独身だろ?」

「その通りだ」

Aは、そんなことを言いに来たのか?


もう、会費分は食べた。

抜け出そう。

誰も気には止めないだろう。


「俺も独身なんだ。ちなみにXは0だ」

「Aは結婚歴ないのか?意外だな」

「ハハハ、皆そういうよ」

Aは笑った。


「S、あそこを見てみろよ」

そいつが差した先には、女子が談笑をしていた。

「ババアばっかだな」

「向こうも、ジジイばっかだねと、思ってるよ」

「だな」

そう、人は歳を取る。


若いと思ってても、いつか中年になり、お年寄りになり歳を取る。

そして、天国へと帰る。


「なあS、出ようか・・・」

「えっ」

Aが意外なことを言い出す。


「前から、お前と差しで飲みたいと思っていた」

「俺は下戸だ。酒は飲めない」

「俺もだよ。近くに美味しい焼き鳥やがある。そこ行こう」

「俺とお前とふたりでか?」

俺は、Aに疑問をぶつけた。


「正直、俺もここにはいたくない」

「どうして?お前なら、友達多いだろう?」

「何かと厄介でな・・・とにかく出よう」


俺とAは、外へ出た。

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