第7話

 ホイッスルが鳴り、恭介たちは一対〇で勝利を収めた。

(なんとか勝てたか。でもまだまだだな。点を取ってから、明らかにうちは雰囲気が緩んだ。大きな課題、だよな)

 恭介が思案に暮れていると、前方から同じく試合に出ていた二年の柴田が駆け寄ってきた。顔つきは明るく、一点の曇りもない様子である。

「いやー、今日も飛ばしてましたよね、キャプテン。あのシュートはまーそう簡単には取れないっすよ」

「ああ、我ながらまあまあだったかな。そんでもあの程度じゃあ、止めるキーパーは星の数ほどいるだろ。まだまだ精進が足りん」

「おっ、さすがキャプテン! 青嶋サッカー部のきらっきらのエースにして、ストイックの申し子! もう一生ついて行きますよ!」

 ハイテンションな柴田にクールに返答しながら、恭介は父兄の中に佳奈の姿を探す。だが見当たらない。

(……あの子、本当に来てたのかな。いや、用事とかで来られなかったんなら仕方ないけどさ。点も取れたし、喜んでもらえただろうにな)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る