生きる意味を見つけるまで

シロイカワ

第1話 はじまり

いつからこうなったのだろう。

体に変化が出てきたのは就職してからだった。それを考慮すると4月なのだろう。

体の変化というのは、そんなに重いものでは無い。所謂蕁麻疹だ。



就職してから、実家に帰り風呂に入ったあとだった。

後にネットで調べるとコリン性とか、温性とかそれっぽいものがでてきた。しかし学生時代にはそのような症状はなかったので、ストレスが係わっていることは明らかだ。

8月の終わりくらいに眠れなくなるほどの蕁麻疹が出てきた。いつもより若干ひどいくらいの認識だったのだが家族の勧めで夜間病院に駆け込んだ。

そこで医者と話すも、ストレスが原因だろうと一蹴され精神安定剤を処方された。

それを飲むと、まるで酔いが回っている時のような、脳に霧がかかったように思考が途切れるような感覚に陥った。私は知っていた、それが長く続かないことを。その晩私はよく眠った。


無論、それがずっと続くわけでもなかった。一時的に納まったといえ仕事という緊張から解き放たれた時私の体には赤く細かい発疹が出てきてしまった。

親に心配をかけられる訳もなく、「いつもの事だから。1時間すれば治るから。」と説明まがいの言い訳をして、病院と心配から逃げた。

酒とタバコに身をやつし、ストレスから一時的に開放された気を味わっていた。

酒とタバコを嗜んでいない時には自分を責め、生きる意味を問い、自分の価値を蔑んでいた。酒とタバコに委ねる時は、自殺やオーバードーズを実行できない自分の無能さを呪っていた。

月日が流れるにつれ、人を信じられなくなっていき、相談も出来ずに、自らの身体のうちに、黒く醜い何かを宿すようになっていた。

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