ExtraEspionage 一人酒

「ビールビール、ビールいっぱい!」


 あー最高だわ、山盛りある。娯楽スペースってよりこりゃ兵士の隠れ酒飲みスペースだわ。アイツら仕事サボってんのかぁ。


「まぁこんな僻地勤務じゃ息も詰まるだろうしなぁ」


 心底同情するぜ。ま、全部かっぱらってやるんだけどな。


『敵地で酒飲み……貴女しかやらないでしょうね』

「うるせぇ、飲みの邪魔すんな。通信きるぞ」

『どうぞご自由に。私は動画編集してますね』

「おう、がんばれ、がんばれ」


 通信切ってガバガバガバガバとビール飲む。あーもう最高最高。ショボいがつまみもある。完璧だな!


「ん? DVDあるじゃん、見てみよ」


 DVDのサービス付き、更にいいねぇ! お、値札ついてる。


「は? 50000¥! 一話しかないのに? しかも無地パッケ、なんか臭うな……」


 とりあえずつけてみる、うわ、予想通りとはいえちょっと引くわ……コイツらそんなにこのDVD欲しいのかよ。


「これ私の誘引動画じゃん。アイツDVD化して金毟り取ってたのかよ」


 我ながら酷い出来だ。こんなもんで昂ぶるとか人間の欲望はよく分からん。


「ま、酒のアテに見てやるか。え……これ無修正? よく卒倒せずに済んでるな」


 アイツホントに殺すつもりだな、これ。画面越しに誘引効果出まくりじゃん。


「げふー、まぁいいや。我ながら聞くだけでも変な声だわ……あ、空になった、追加追加っと」


 うまいうまい、ビールはうまい! 一気飲みは最高だなぁ! あ、人間は真似するなよ! 死んじまうからな!


「さて、追加追加……あ? もうねぇのかよ、つまんねぇな。仕方ねぇウォッカにするか」


 気乗りはせんがウォッカでも構わん。


「ウォッカは一気飲みしにくいからなぁ。少しずつにすっか。はぁ? つまみもなくなったぁ? ああもう」


 はーあ、煙草をつまみにすっか。








 

 それから一時間くらい飲んでた。


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