第85話 memory

Rito Haru




思い出した.....





俺たちは





二人ではなく.....





三人だった......





Rei


やっぱりそうだよね


私たちは、三人


そのことに途中から気づいてしまった





はじめて現実の世界でRitoくんに


出会った時は二人だと思っていた


はじめはあなたが片割れだって


思い出せただけで満足だった


幸せだった





時が経つに連れて


このことをRitoくんにも伝えたいって


思うようになった


だから京都の貴宝寺の3.5次元世界が


潜在意識の世界だって


気づいた時に思った


Ritoくんの潜在意識に働きかけたら


Ritoくんの顕在意識に届くんじゃないかって





はじめは特に変化はなかったけど


3回目ぐらいから


潜在意識のRitoくんが私のことを


少しずつ認識しだしてるのが分かった





4回目のあとにRitoくんのお兄さんの


河原先輩が


私のことを意識してるって


聞いた瞬間に


顕在意識に届いたことを確信した





そう、はじめは二人だと思っていた


大学生になってからブログを書きだして


文章だけだと味気ないからたまに


写真を載せていた





その写真の中で一枚


貴宝寺に行った時に扉が開いた瞬間の


写真を投稿していた


でもよく考えたら


扉が開いてる瞬間の写真をのせたら


このことを不思議に思う人がいて


騒ぎになるかもって思ってすぐに削除した





それからしばらくして私のもとに


一通のメールが届いた


その相手がHaruくんだった


きっかけは石碑の奥の扉が開いてる写真に


興味を示してメールをくれたことが


きっかけだった





特殊能力の数値が以前より上がっていたから


Haruくんのメールから流れてくる


エネルギーで


Haruくんとの関係性に気づいた





Ritoくんが片割れで


Haruくんも片割れという事実に


はじめは驚いていた





でも時間が経つに連れて


同じ片割れでも二人の性格が


全然違うことに気づいた





Ritoくんは現実の世界では一度しか


話したことはないけど


はじめて会った瞬間から


どこか懐かしくて安心できて


親しみやすい人


きっと女の子からもモテて


友達からも慕われる


そんな雰囲気





Haruくんはどちらかというと


一人が好きで寡黙で


得意なことを突き詰めるタイプの人





どこか孤独で影があって


ハートを固く閉ざしてしまってる

 




何回かメールをするうちに


Haruくんを助けてあげたい


閉ざしているハートを開きたい


そう思うようになった


今度はHaruくんに想いを届けるために


貴宝寺にまた通うようになっていた

 




でもRitoくんの時とは違って


Haruくんの潜在意識に何回働きかけても


なかなか変化がなかった






でも今あなたにはじめて会って


思い出した


私が陽ならあなたは陰だったんだね


それから私たちは二人ではなく


三人だったんだね





Haru


今、思い出した


俺たちは三人だったことを


君がRitoに3.5次元世界で


必死に何かを伝えようとしているのを見て


はじめは馬鹿馬鹿しいと思っていた


そんなことをして何になるって





でも段々そんな君に対して


イライラするようになった  


はじめはなぜイライラするのか


その理由がわからなかった





でもある時気づいた


俺は君のことを好きになって


しまったんだって





一度気づいてしまったら


もう抑えられなくなって


まさか君が片割れだったなんて


知らなかったから


思いもしなかったから


俺は君が片割れになるように


もともと決められている相手を変えて


君を片割れにしようとしていた





はじめ君を現実の世界で見た瞬間


俺は予定通り君を片割れにすることに


成功したんだと思った





でも違った


俺ははじめから君の片割れだった


それから三人だったってことも


今ようやく思い出した





Rito


今すべてを思い出した


思い出してしまった





陽がRei


陰がHaru


中庸が俺だって


陰陽である二人が最後は一緒になることを


俺はサポート役





陰であるHaruが脱落した時の代役


でもHaruが無事にクリアした今


Reiちゃんと一緒になるのはHaruだ





Reiちゃんが夢の中に出てきて

 

片割れだって教えてくれた時は


すごく嬉しかった


現実世界では一度しか会っていないのに


君は他のどの子とも違って


魅力的だったから





でも俺が君を片割れだと認識したあたりから


なぜかReiちゃんの夢を見なくなった





はじめは俺の顕在意識が


認識したから


夢を見なくなったんだと思っていた





でも途中から


もしかしたらReiちゃんは


他の人に心移りしたんじゃないかって


思いはじめた





君はきっとあの頃に


Haruの存在に気づいて


気持ちがHaruの方に向きだしたんだね


孤独なHaruをほっとけなくて





でも俺だってずっと孤独だった


俺だってReiちゃんが必要


Reiちゃんしかいない





でもすべてを思い出して


Reiちゃんとは一緒になれない運命って


分かった今


もう何のために生きてるのか分からないから


生きてる意味なんかないから






死ぬしかない


死んでしまえば楽になれる





なんとなくこうなることを予測して


薬を用意していたから





まさか本当にこれを飲む時が来るなんて


思わなかった





Rito「Reiちゃん......今まで.....ありがとう」





Rei「えっ......Ritoくん......?」








「だめーーーー


死んだら絶対にだめ!!!


私が許さない」


Rito「えっ」





「ハァ ハァ ハァ


死んだらだめ、私がいるよ」


Rito「えっ、君は......」





「私もあなたと一緒だから


あなたと同じ


三人で今回特別missionに参加してたの


私も中庸なの」


Rito「俺と同じ.....中庸.....?」





「インスタグラムの写真を見て


石碑の写真を見て


私にメッセージをくれたでしょ?


そこで気づいたの


あなたも私と同じ


特別転生者なんだって


あなたの孤独感が私には分かるから


きっと中庸である私たちは


陰陽の二人が一緒になったら


自分の役割が終わってしまうってことを


魂が分かってるから


いつも孤独を感じていたんだと思う」


Rito「.......」





「あなたとメッセージでやりとりを


するうちに


私の抱えてる孤独と


あなたの抱えてる孤独はきっと


同じだって思ったから


そのことをあなたに伝えたくて


何度も石碑に足を運んでたの」


Rito「えっ......」





「でも、何回あなたの潜在意識に


働きかけても変化しなかった


きっとあなたと私は、片割れでないから


強い縁ではないから


いくら働きかけても


あなたの顕在意識には


届かなかったんだと思う」





あなたの気持ちが痛いほど分かるから


私には分かるから


だから死ぬなんて言わないで


それをどうしても伝えたかったの」




RRRRR


電話だ


Soutaだ


そういえばあいつ今日合格発表だった





「Rito!」


「......もしもし」


「俺、第一志望無事に合格したよ!」


「えっ」


「Ritoのお陰


まずRitoに知らせたくて」


「俺に.....?」





「そうだよ


俺、Ritoのお陰で生き返ったから」


ドキン


「Ritoがいなかったら、俺今頃死んでた」





ツー


(Ritoから涙が流れる)





「そうか、お前ほんとに頑張ったな


最後にそれが聞けて良かった」


「最後?何言ってんだよ!


今日の夜お祝いな」


「あぁ.....そうだな.....」


「また後で連絡する」


ガチャ


ツーツーツー





「どうしたの?」


「俺が家庭教師してた子が


今日第一志望に合格したんだ」


「おめでとう!!


そうだ、一つあなたに


どうしても聞きたかったこと


私の名前はReilaだよ、あなたの名前は?」





ドキン


あなたの名前は?





あなたの名前は?





そのフレーズどこかで聞いたことがある





確か、夢だったと思う


かすかに聞こえた


あれは......


あの声は......君だったんだね





「俺の名前は、Ritoだよ」


「Ritoくん......


何回も何回も名前を聞いてた


あの世界でも、心の中でも


ずっとずっと


教えてくれて......ありがとう.......」


(Reilaの泣く声)





「俺の方こそ......ありがとう......


俺を救ってくれて.......」



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