第67話 Each

Rei



実はあれから何度か石碑に


足を運んでいた


その中で分かったことがある





扉は毎日開くわけではないということ


5日に1回開く


今日行ったから次に開くのは5日後





それからあの世界にいる人たちは


姿形はあるけど


触れようとすると掴むことができない

 

だから物体として存在しているわけではない


つまり、魂のようなものだろうか





声をかけると反応はする


話も確かに聞いている


でもこちらから質問をしても


返事はかえってこない





Reila



あれから何度か貴宝寺に行った


でも毎回扉が開くわけではないみたい


一定の周期があるのかもしれない





監視のこともあるから


中には一瞬だけ入る


入ったら危険なことは分かってる


次に見つかったら間違いなく転生終了





それから、あの世界の人たちは


おそらく人間ではないと思う






Rito


しばらく石碑には近づいていない


ここ最近はSoutaの家に頻繁に通っていた


俺の話をしてから少しSoutaは変わった





ガバッ


「よう、Souta、ようやく顔出したな」


「うるせぇ」


「ははは


うるせぇは反抗期に一番使う言葉だ


お前学校も行かないで


これからどうするんだよ」


「.....」


「これからのこと俺と考えねぇか」





「.....」





Haru


今回特別転生者として参加しているが


正直、片割れとか興味がない


俺は今までの人生


女性に対して好意を抱いたことはない


女はよく分からないし、正直面倒だ






できれば今回も一人で


missionに参加したかった


俺のレベルが達しても


相手が猶予期間中にクリアしなければ


今回のmissionは失敗に終わる


それだけは勘弁だ





Rei


5日後


時刻は23時50分


あと10分で扉が開く


危険を犯してることはもちろん分かっている


どうしてもあの世界のことを


知りたいって思う


自分でもなぜこんなに気になるのか


分からない





mission mobileを今日は持ってきていた


地図を開いて


たまたま自分の住んでいる場所を


設定していた





0時00分


いつものように扉が開く


その瞬間、mission mobileが反応して


光りだす





あっ


中の世界が変わった


もしかして私が自分の住んでいる地域に


設定したから


それに反応してあの世界の人も


私の住んでる地域に変わったのかもしれない





mission mobileを持って


この世界に降りてくるのは特別転生者のみ


やっぱり何か目的があって


作ったんだと思う





Reila


少し間を開けて来てみた


今日は開くのかな


時刻は0時00分





あっ、開いた


確かこの前来たのは5日前


5日周期で扉は開くみたい





中を覗く


実はインスタグラムに一瞬


扉が開いた写真を載せていたら


それを見ていた人から連絡があった


写真をのせたのはほんの一瞬





しかもあの写真にだけ反応するということは


上をから降りてきている人だろう


それも特別転生者





普通転生者の人は0才から転生しているから


今はまだ10才





Rito


「今後のこと俺と一緒に考えねぇか」


「今後ってなんだよ」


「今後は今後だよ


やりたいこととか将来の夢となないのかよ」


「うるせぇ」


出た、うるせぇ


あえてはっきりと言うか





「野球の試合でSoutaのプレーで結果


逆転負けして


チームにいづらくなってやめたんだと思う」


言った瞬間こっちを睨んでくる





「今は野球がなくなって


すべてがどうでもいいかもしれないけど


もしかしたらSoutaの進むべき道は


野球ではなかったのかもしれない」


「どういう意味だよ」





「今はよく分からないかもしれないけど


挫折は成長のために必要だと思う


俺なんかSoutaの何倍も今まで


やらかしてきた


でも今こうやってSoutaに話してる俺がいて


どうしようもない経験も


少しは役にたつのかなって思う」





Haru


毎日学校と仕事で忙しかった


それに加えて


もう一つやることが増えた


これは俺の中で挑戦だった


俺の頭脳でどこまでできるのか


カチャカチャ

  

カチャカチャ

 



 

3.5次元の世界とこの世界を


つなげてしまった人間は


特別転生者だろう


何か目的があってつないだ


それから相当な頭脳の持ち主であること





彼ができたなら俺にだってできるはず


普段あまり対抗意識なんて持たないが


これを作った人間には負けたくないと思う


おそらく俺とよく似た性質の人間が


これを作ったのだろう





カチャカチャ





あっ、つながった





Rei


5日してまたここに来た


Miiaに注意されたから


もう来ちゃいけないことは分かってる


どれだけ危険なことをしているのかも


よく分かってる 





でも確かめたいことがある


時刻は23時55分


mission mobileをとある場所に設定する





ドキン

 

ドキン





もし合っていれば、いるはず





ドキン


ドキン





0時00分


いつものように扉が開く





mission mobileが前回同様反応を示す


あと5分


中の世界に飛び込む


たくさんの半透明の人たちが行き来する中を


かきわけてひたすら探す





やっぱりいないかな


ドキン


ドキン





どこにいるの?


ドキン


ドキン





あと1分


ダメだ、もう扉が閉まる





戻らなくちゃ





あっ......





いた......






「Ritoくん!!私だよ、分かる?


Reiだよ!」





返事はなく表情も変わらないけど


確かに声は聞こえているらしく


じーっとReiを見てる





もう行かなきゃ




ten

 




nine





ドキン




ドキン





six




Ritoくん




いた





three





あと一歩





バタン





ドキン


ドキン





バタン





Reila


扉の写真に反応して


インスタグラムから


メッセージをくれた人を辿る





あっ、この人もインスタグラムやってるんだ


あっ、貴宝寺の石碑の写真のせてる


それもつい最近の写真だ





この人も大学生なんだ





ドキン


ドキン





今私と一緒で近畿地方にいるんだ





時刻は23時30分


今日も貴宝寺に向かう


危険なことをしてるのは分かってる





今日はmission mobileを持ってきた


転生者の分布図を眺める


えーっと、私の今いる場所は





ピピピ


次の瞬間





えっ


扉が開くと同時にmission mobileが


反応する


あっ、奥の世界が変わった





私が場所を変えたから変わったの?





監視から逃れる方法がまだ分からない


あーーー入っちゃえ





Rito



「夢なんかねぇよ」


「夢か.....


正直なとこ俺も夢はない


まずは目標を作らないか?


高校受験をするとか」





「ずっと野球やってきたし


スポーツ推薦しか考えてなかったから


今さら無理なんだよ」


「無理かどうか決めるのはまだ早い


今9月だ、受験は来年の2月だから


今から必死こいて毎日やればまだ間に合う


野球やる根性あるんだからできるよ」





「今から?」


「そうだ、お前が本気なら俺も本気出す


あとでお母さんと話すけど


週6でお前の家に通う」


「週6?


あり得ないだろ」





「野球やってたんだから


毎日の練習は慣れてるだろ


どうするんだ?


やるのか、やらないのか」





Haru


あっ、つながった


ようやくつながった


あれからずっと調べていた


3.5次元の監視室につながる方法を





ついに侵入することに成功した





カチ カチ


ここが監視室か





基本一人で


モニターをチェックしてるんだな


ここ3日間出入りしている人間の履歴は


どれだ?





あっ、あった


この人.....あの写真の人だ


随分と大胆に出入りしてるな


これはまずいだろ


頭脳が低いことがまる分かりだ


カチ カチ







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