第58話 Each of the day to day

Reila


旅行から帰ってきていつもの日常に戻る


今回旅行に行って良かった


改めてNanaとの絆が深まった


国内旅行なのにお土産屋の山


こんなに買ったっけ??





山を崩しながらインスタに投稿する写真を


選ぶ


かなり興奮していたらしく


すごい数の写真


同じような写真がひたすら続く





ふと一枚の写真が目に止まる


これは貴宝寺の扉が開いた瞬間の写真だ


何も考えず撮ったわりには


随分とはっきり撮れている





あの光景を思い出す


不思議な世界


あんな世界があったなんて





Rei


はぁ


無事自宅に到着


やっぱり家が一番落ち着く


今回3泊4日と長旅だった


一様河原先輩にもお土産屋買ってきたけど


会う予定ないしなぁ





それからもう一つ


これは.....


もっと会う予定のないRitoくんのだった


彼は貴宝寺のことを知っているんだろうか


修学旅行で行ってる可能性が高い





夜中だったこともあり


あの光景は異様だった


あの日の夜は怖くて


なかなか寝つけなかった





Rito


1泊の旅行を終え、帰ってきた


携帯を見ると、Ryoからラインがきてる





Rito、旅行楽しかったか?


お土産屋は期待してないからな笑


そういえばSoutaん家に


行ってくれたんだってな


おばさんから連絡きた


Soutaが失礼な態度ですみませんって


謝ってた


ありがとう





大丈夫だ


Soutaは俺の昔を


見ているようでほっとけない


また来週行くつもりだ





そういえばあのReiちゃんて子


どうしてるかな


なぜかあの子のことが気になる


恋愛感情かと聞かれると、よく分からない


気になる、引っかかるというのが


正しい表現になるだろう





Haru


あー、疲れた


弟たちとの旅行、意外に疲れた





一番下のRenは


例の縁結び神社で買ってきた


キーホルダーと八ツ橋を明日


好きな子に渡すらしく張り切っていた





縁結びのキーホルダー


女子は男子からもらって嬉しいんだろうか


それにどういうつもりで渡すんだ?


このキーホルダーで願いを叶えてね


という意味なのか?





それとも


このキーホルダーをあげるから


君のことが好きだよという意味なのか?


俺には理解ができない





どっちにしろ3人の中で


はじめに彼女ができるのは


間違いなくRenだろう





Reila


最近インスタグラムに


自分で描いた絵と一緒にメッセージをつけて


写真を投稿していた





さすがインスタグラム


世界各国の人が利用してるだけあって


思ってる以上に反響があった





私も向日葵のように


真っ直ぐ上を向いて生きていきたい


今の私は上を見る資格がないから


今の私には上を見る勇気がないから


今はただ地面に根をはって


上を向けないのならせめて


下へ下へと根をひたすらおろしていく


その根がいつか太くなって


がっちりと地面と一体になれる時が来たら


それがいつしか許しへと変わり 


それが自信へとつながり


私なりの私色の向日葵を


咲かせることができる


そう信じてるから


今はひたすら下へ下へと根をはる





向日葵とともにこのメッセージをつけたら


色んな人が共感してメッセージをくれた


嬉しかった  


私の言葉に私の表現に


こんなに共感してくれる人がいるなんて





これはNanaのコンクール用の絵を


ダメにしてしまった時に書いた言葉





Rei


久しぶりにブログを開くと


あっ、メッセージが来てる


kirariちゃんだ


何て書いてあるんだろう


少しドキドキする





Reiさんへ


メッセージありがとうございます


お返事遅くなってすみません


メッセージの意味をずっと考えていました



  


今はReiさんのメッセージのすべては


理解できないけれど


プラスマイナスの法則の話は


そうかもって思いました





私が恨んだり見返すことばっかり考えて


マイナスエネルギーを発しなくても


いじめてる子たちが


毎日毎日私に向けている


マイナスエネルギーはちゃんと


私ではなく彼女たちに跳ね返ってるってこと





だから明日から怖いけど


頑張って学校に行きます


あとお稽古をはじめることにしました





Reiさんにあの時相談して良かったです


いつでもここにいるからっていう言葉が


私の励みになっています


また連絡してもいいですか?


ブログ楽しみにしています


kirari





良かった


私のブログが私の経験が


役にたったんだね


私の方こそありがとう


あなたのお陰で将来の夢ができたよ


心理カウンセラーになること





Rito


ピンポーン


「はーい」


「折原です」


ガチャ


「ありがとう、また来てくれて」


「いえ、これ京都のお土産です」


「お土産までありがとう」


「今日も馬鹿息子は上にいるの」


「ははは、部屋に行ってきますね」





トントン


.....


まぁ、そうだよな


「入るぞ」


シーン


今日も定位置の布団の中だな





「Souta、夏なのに布団かぶって


暑くねぇか」


シーン


今日も返事なしか





「俺、京都行ってきたんだ


良かったらお前お土産食べ.....」


こんな話じゃダメだな





「俺が中学の時はすごかった


いい意味じゃないぞ


停学4回


警察に補導された回数5回


いや、6回だったか?


まぁ、いいや」


シーン





「しょっちゅう俺の母親は


学校やら警察に呼び出されては


謝ってた


あの頃はすべてがどうでもよくて


荒れてたと思う


茶髪にピアスして





で、最後に補導された日に


母親がなかなか来なくてひたすら待ってたら


なぜか担任の先生が来た


その先生だけはいつも俺の味方だった


どうしようもない俺を信じてくれてた





だけどある日いなくなった


最後の日にろくに会話もせず


お礼を言うこともなく


終わってしまった


あれ、俺何が言いたいんだっけ


つまりな」


シーン


だめか

 

じゃあ


 



「俺、大学に入ってまた


馬鹿みたいに合コンに行っては


女の子をとっかえひっかえ遊んでた


で、その時に彼女らしき子がいて


妊娠させてしまった





俺、何も考えずに


おろしてくれと頼んだ


で、嫌がる彼女を無理やり説得して


病院に連れてって


手術してる間に


子供の写真を見つけて....


見たらまだ形にもなっていない


だけどちゃんと確かにそこに存在してる


子供がそこに写ってた





その瞬間


俺、俺、とんでもないことをしてしまった


一生かけてもこの罪を償えることはないって


未だにあの写真が忘れられなくて


忘れちゃいけないと思って


一枚写真をもらって今でも持ってる」





ガバッ


Souta


はじめて反応したな





Haru


今日はボランティアで施設に来ている


親のいない子や


家庭の事情で一緒に住めない子たちが


ここにはいるらしい





「こんにちは


来てくださってありがとうございます」


施設長らしき女の人が挨拶に来る


「あっ、どうも」





「みんな、今日ははじめてのお兄さんが


皆のために来てくれてますよ


みんなでご挨拶をしましょう」


しまった、この空気


歌のお兄さんみたいな雰囲気になってる


苦手だ


誰かと一緒に来れば良かった





「それでは」


えっ


「挨拶を」


やっぱり


「してもらいましょう」


そうなるよな





シーン


一斉に視線が集中する


そんなに注目しなくても


俺は大したことは言えないぞ





「えー、木塚Haruと申します


Giga Corporationから来ました


......


えー、パソコンのことなら何でも


聞いてください」


シーン





もう終わりだぞ


しばらくして


パチパチパチパチ


だから苦手なんだって、こういうの





「施設にパソコンは1台しか


ありません


20分交代で順番に教えてもらいましょう」


20分


結構子供いるぞ





「では順番を」


すると一人の女の子が


「せんせーい」


「何ー?」


「Akiraくんは将来の夢が


ゲームを作る人だから


Akiraくんが一番がいいと思います」


すると一斉に


「いーと思いまーす」


すごいな、この一体感





「じゃあ、みんながそう言ってくれてるから


Akiraくんからにしましょう」


Haru「よろしくな


何か聞きたいこととかあるか?


もしなければ簡単なことからやってくけど」


すると一枚のノートを広げる





よく見ると


すごいな、自分で勉強してるのか


「Akiraくんはご両親の都合で

 

一緒には住めないの


お小遣いは


パソコン関係の本を買うために


貯金してるの」


「そうなんですか」





「よし、Akiraの分からないとこを


今日はやるか」


なぜかほっとけなかった


俺とは違うんだけど


少し前の俺とかぶるというか


孤独というか


ノートを指さしている





「ここか


なるほどここは計算式を


ここに入力するんだ」


カチャカチャ


「Akiraもやってみろ」


黙って手を動かす


カチャカチャ


「そう、で次にここの値を求めたい時は」


結局周りの子の図らいで


初日はAkiraだけを見て終わる


「よし、今日はここまでだ」


「Haruさん今日はありがとうございます」


「Akiraくんすっごく喜んでると思います」


「いえ」





「彼は話をしないんです、色々あって.....」


「そうですか」


「また是非来てくださいね」


「はい」


施設をあとにする





Akiraに渡す本を探すか


パソコンの本なら


誰にも負けないぐらい持ってるからな


家に帰ると上司の斉藤さんから


メールが来ていた





Haruお疲れ


向こうの人喜んでたぞ

 

是非またHaruに来てほしいって





Stormの依頼の時とは違って


充実感があった


報酬はないが


本探すか




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