第45話 大学

Rito


3次元世界でいう大学受験をして


希望通り、大阪の大学に合格





東京と大阪の違いに戸惑う毎日


言葉もだけど雰囲気から何から何まで





親からの仕送りを断ったため


急いでバイト探しをしなければいけない





母親には内緒で兄貴のRyoとは


連絡をとっていた


確かに親父が外で作った子かもしれないが


それは親父の問題であって


Ryoの責任ではない





しかもメールの感じではいい奴だと思う


どちらかというと、俺と気があう


母親は違っても血はつながってるからか





Ryoから連絡が来て以来


母親は昔のことを思い出したのか


ヒステリックだった


何かというと当たってきて正直参ってた


だから家を出て良かったと思う


   



最近久しぶりに片割れといわれている存在を

 

意識するようになった


彼女も今頃大学生になっているだろう





もうこの世界で誰のことも


好きにならない


好きになれない


おそらく彼女を除いては





この世界に降りてきてから孤独だった


母親は忙しかったからかもしれないが


愛されてると感じたことはない


愛される資格すらないと思った


でもそれでも誰かに愛されたいと思う


彼女としかそれはできないと思っている






Rei


大学1年生

  

3次元世界でいう18才


河原先輩を追いかけて同じ大学に


補欠合格した


補欠でも何でもいい、合格できれば





さぁ、先輩を探さなきゃ


連絡先を交換できないまま先輩は


卒業してしまった





先輩からしたら私は


ただの妹みたいな感覚だったと思うけど

 

私は好きなんだと思う


思うって曖昧なんだけど


人を好きになるのはこれがはじめて


Seiaくんの時はまだ小学生だったから


好きだったかと聞かれると


よく分からない


 



彼は突然いなくなった


もうあんな想いはしたくない





今、大学のサークル勧誘の花道を歩いてる


「テニスサークル入りませんか?」


バイオリンがあるから


サークルには入らないつもり


テニスサークルが多いんだなぁ


ただ歩いてるだけで


手には溢れんばかりの紙





あと少しで花道を抜けられる





あっ......先輩だ





Haru


高校の卒業式が終わって


弟と3人で


滋賀の新しい家の鍵をもらいに向かってる





Rikuはこの春から中学3年


Renはこの春から5年生


青森の家にはいろんな思い出があったが


住んでいた家は売ってしまった


売ったお金と母親が残したお金で


しばらく生活していかなければいけない

 




いつ貯めたのか通帳が4枚残されていた


母親は最後までそうだった


弱音一つ吐かず黙ってやり遂げる人





一つの決意をした


弟が20才になるまで


責任を持って面倒をみると





昔の俺なら責任とか


面倒をみるとか家族なんて言葉


大っ嫌いだった


今でも正直面倒くさいと思う時がある


あるんだけど


今さら預けるのも何か違う





間取りにめちゃくちゃ悩んだ


予算を考えたら1LDKが精一杯だった


男3人で1LDK


前と変わんねぇじゃねぇかよ


むしろ前より狭くなってるじゃねぇか





もう個室は諦めた 


そのかわりにようやく念願のパソコンを


手に入れる


予算の関係で中古だが、ないよりはましだ





最近Kiethから全く連絡こないが


どうなってるんだ


こんな大変な時にほったらかしかよ





Reila


大学1年生の春


父親と離れて奈良に来た





美大を目指してて気がついた


この世界はお金がかかるんだって


父親は何も言わずお金を出してくれた





美大なんて言ったら


はじめは反対されると思った


でも私の部屋に置いてある絵を見て一言


好きなようにやってみろだった


意外だった


学歴主義の父からは考えられない





今までずっと距離があった


私になんか興味がないと思ってたから


でも出発する日の朝


珍しく家にいた父は


泣いてるようにみえた





美術の世界で生きていくことが


難しいことは分かっている


でも絵を描いてる時が今は一番幸せだから





足を怪我して良かったって、今は思ってる


怪我をしなければ


美術部には入っていなかったから


それから先輩にはとても感謝している





奈良ってなんとなく雰囲気が


京都に似てるな


修学旅行で一度しか京都には行ってないけど


流れてる空気も独特だった


うまく言えないけど他とは違う






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