第5話
作戦区域からの離脱行動を取りつつ、投下先を眺めていると、海面からまるで火山の噴火の様に巨大な水柱が吹き上がるのが見え、私は興奮を覚えた。
決死の思いで遂行した楕円作戦は、成功した様に見えた。
続いて、海中に放った探査機から、あれほど多かった海底の『奴ら』が、生産設備もろとも消えている事が、電波で報告されて来る。
私達は、敵の根城の破壊に成功したのだ。
だが、その次に起きた事は、誰もが全く予想してい無かった事だった。
あれは、何だ!?
そう思った矢先、愛機がそちらに引き寄せられた。
作戦区域には、爆風の吹き戻しによる、強力な竜巻の様な物が発生している。
脱出するには、対気速度が足り無い。
危険を感じた私は、計器が警告を発するのも構わず、エンジンを最高出力まで開放し、その機体を引き寄せる力から逃れ様とした。
入道雲を作る強力な上昇気流と、爆心地に向かう風が機体を揺さ振り、旋回に伴う強力な遠心力が身体を締め付ける。
しかし、私と私の機体は引き寄せられて行く……。
飛行士として最後の任務を達成した私は、爆心地上空に発生した奇妙な光を放つ巨大なエネルギー体の中に、機体ごと呑み込まれて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます