オールドマンミーツガール:Side NIGHT
凄井良人
プロローグ/赤坂栄
私の名前は
とても一般的な一辺倒な高校生だ。
そこそこ多い友達からは大抵さかさかと呼ばれている。正直発音しにくいが可愛いのでそれでいい。女子高生の感性などその程度のものなのだ。東京都内の某名所に名前が似ている故に良くからかわれるので当時五歳の私は親を絶対に許さないと硬く心に決めた。らしいのだが今はどうでも良くなってきた。だって可愛いじゃん。
「あ、さかさかー。おっはよー」
「おーしおりん。おはよー」
「急がないと遅刻だよぉ」
「しおりんもでしょー」
「あははー」
朝八時五分に昇降口に滑り込んだ私と友達のしおりんは、急いで上履きに履き替える。
遅刻指導常連者、下駄箱の極意。
手を使わずに右足を脱ぐ。
屈みつつ右の後ろ手で脱いだ右の靴を摘まみ上げ、同時に左手で左足の靴を脱がす。
そのまま両手に靴を持ちつつ右手の小指を用いて下駄箱のフタを開ける。
上段に靴を突っ込んで離し、下段の上履きを掴んで床に放り投げる。
フタを閉めつつ手を使わずに足だけで上履きを履き、走る。
この間、五秒。
「さかさか待ってー!」
「ごめんしおりん、待てないっ」
「えー!?このはくじょうものーっ!」
しおりんは犠牲になったのだ!
階段を駆け上がってゆく。二年生の教室は二階で、私のクラスは校舎の真ん中辺り。
走れば登校時刻の八時十分まで余裕で間に合う。
生徒指導部よ、どうやら今日は私の勝ちだなっ。
登りきって廊下を走り、教室に駆け込んだ。
「すいませーんっ!遅れましっ…」
次の瞬間。
私はお腹を貫かれていた。
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