笑ちゃんは笑えやしない。

みのなおこ

迷惑な贈り物

 私は、「笑」という名前がどうしても好きになれない。

 

 能天気なオヤの人柄が滲み出ているような気がする。

 掲げて、時には晒して生きていくには私には酷な名前だ。


 「笑っていればなんとかなる」


 その言葉は私の人生には通用しなかったし、これをモットーに生きているタイプには蔑視を向けているところさえある。


 コドモは無垢で無力で無抵抗。そんな存在だった私は、生まれながらに不本意なレッテルを貼られてしまった。

 まったく不憫な話である。

 求めても欲しくもないのに、オヤというものはソレをよこしては、もっともらしく“ギフト”だとか言う。


 それを疑うことなく、押しつけがましいとも思わず、喜びさえ感じて受け取ることができる者もいる。

 そういう者は、まっすぐに、まっすぐに育つのだろう。おまけに感謝することさえ忘れず、孝行者だと称賛される。


 一方、不信感でいっぱいだった私は、いらんことにぶつかっては砕け、それはもう屈折して育った。

 そんなことだから、弱冠17にして、とても疲れてしまった。


 親が子に与える、“ギフト”とかいうソレは、もしかしたら子に求める願いや理想だったりもするのだろうから、それに沿えない私はなんだか自分が不甲斐なく、両親にとっては“失敗作”のようにも思えた。


 そんなこんなで私の毎日は、笑えやしない。

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